Tokyo Midtown Award 2009

魅力的なアートとデザインの逸品が見られる

東京ミッドタウンが昨年スタートしたアートとデザインの公募「Tokyo Midtown Award」。この度２度目の審査結果が出て、現在入賞作品が展示されている。

会場は人の流れが途切れることのないプラザB1Fメトロアベニュー展示スペース。手前が平田創「Funky Project 09 Japan Colors」

同公募は、東京ミッドタウンのコンセプト「JAPAN VALUE（新しい日本の価値・感性・才能）」の創造を目指すためのコンテンツの一環として創設された。目的は次世代を担うアーティストとデザイナーの発掘、支援である。同公募に限らないが、初回は主催者側の意図や求めるイメージが十分伝わらない場合が多い。前例がないため仕方のないことだが、特にアートコンペの展示空間「通路ガラスケース」という特殊な場に難しさを感じた応募者も結構いたと思う。それでも第1回は多数の応募作品が集まり、ガラスケースでの発表はなるほど！と思えるものが見られたし、デザインコンペでは「日本の新しい手みやげ」にぴったりなウィットに富んだ作品が選ばれていた。

そして2回目の今回、応募総数1677点の中からアートコンぺ4点、、デザインコンぺ9点の作品が選ばれ、お披露目されている。アートコンペでは、キュレーターとアーティストで構成された審査員チームで白熱した審査が繰り広げられ、グランプリ以下各賞が決定した。

会場に着いた途端、目に付いて惹かれたのはアートコンぺの佳作・平田創「Funky Project 09 Japan Colors」。気にかかる音、影絵的な演出、アクティブな動き、心にぐっと入ってきた。

準グランプリの福本歩「六本木未来骨董 フクモ陶器」

準グランプリの福本歩「六本木未来骨董 フクモ陶器」も雑多な感じをウリにしていて良かった。彼女の作品は以前ギャラリーで見たことがある。当時もところ狭しと面白陶器を並べていて、それらを手に取るのが楽しくてずいぶん長居をした覚えがある。思ったより安価で驚いたが、ここでも各作品に価格が付けられていて、欲しい作品はネットショップで買えるそう。ガラスケースを（購買のための）ショーウインドウとして見立てたアイデアにも脱帽だ。

グランプリの藤井秀全「Stain “Expanse”」は、「しみ」がテーマだそうで、見ていると頭が真っ白になる。しばし立ち止まらないとこの作品の真意は伝わらないだろうが、キレイな光りものは間違いなく目を引くため、そこも狙っているとしたらすごいと思った。

グランプリの藤井秀全「Stain “Expanse”」

山本麻璃絵作品「自動販売機のある風景」（佳作）の木彫による自動販売機は存在感抜群。なんで木？でもそこがいい。

デザインコンぺは、一般の部、学生の部とあるが、どれも商品化して欲しい作品ばかりだった。私がまっさきに入手したいのは学生の部グランプリの大野恵利「TOKYO MAKER」と原研哉賞「和柄あめ」。日常生活が豊かになりそうだ。

地下鉄の駅とミッドタウンを結ぶ通路が展示会場というのは、ここを目的に訪れた人以外の人も観客になるメリットもある分、足早に通り過ぎる人も少なくない。あれ、何だろう？と足を留めさせることができるかどうか、それこそが真の意味での「審査」なのかもしれない。

Tokyo Midtown Award 2009
11月3日には一般投票によるオーディエンス賞が決定
受賞作品は、10月23日（金）より約半年間、プラザB1Fメトロアベニューのガラスケースにて展示（※ただし、広告掲載時を除く）

words:斉藤博美