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2009/07/18
ボロス・コレクション −Boros Collection
ベルリンから、かないみきさんのレポートです。
“I COLLECT ART THAT I DON’T UNDERSTAND” CHRISITIAN BOROS
ミッテ地区、ラインハルト通りに佇む巨大な亡霊、ナチス時代の防空要塞に、昨年オープンしたのはボロス・コレクション。土日のみ、10人程のグループに分かれ、ドイツ語または英語によるガイドツアー形式で公開されている。いまだにおよそ3ヶ月先まで予約でいっぱいだが、キャンセルが出る場合もある。メールを送れば運良く飛入り参加できるなんてこともあるだろう。是非ともお薦めしたいベルリンの新しい現代アート・スポットだ。
ドイツのヴッパータールで広告会社を営むクリスティアン・ボロスは、1990年からアートのコレクションを始める。「理解できないものを集める」と言っているだけあり、そのコレクションの中心はインスタレーションや立体、ビデオ作品などのコンセプチュアルなものが主流だ。そこからほんの一部の作家名をあげると、ヨン・ボック、サラ・ルーカス、エルムグリーン&ドラッグセット、モニカ・ソスノヴスカ、サンティアゴ・シエラやオラファー・エリアソンなど。特にエリアソンにはぞっこん惚れ込んでいるようだ。何度となく現れる彼の作品の中には、初期のものを見ることもできる。
1942年に建てられたこの防空要塞は、その取り壊しの難解さから放置され、50年代にはフルーツの保管倉庫として使われていた。通りにはバナナの香りが漂ったという。90年代に入ると、ハードコアなテクノ・パーティーにはじまり、フェティッシュ、SM、セックス・クラブが開かれる秘密めいた場所となったが、後に閉鎖される。そこに目をつけたのがボロスだった。2003年から改築に取りかかり、5年を経て今のギャラリースペースを完成させた。作品の設置には、作家たちも立ち合っている。屋上にはペントハウスも建てられた。ボロスは週末には家族でやってきて、そこでくつろぐのだとか。
作品の詳細が書き込まれたキャプションは存在しない。プライベートな家の中に飾られているものと対面するようであって欲しいというボロスの思案だ。過去におよそ2000人が収容された防空要塞で、ガイドを頼りに入り組んだいくつもの部屋を通過する。歴史の重圧感とコンクリートの威圧感もさながら、ひとりのコレクターが用意した舞台の上で、アートを通して「現在」が見えてくる。
Boros Collection
Reinhardtstr. 20
10117 Berlim-Mitte
Tel: +49 (0)30 27594065
[email protected]
2009-07-18 at 08:20 午後 in ワールド・レポート | Permalink
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