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2009/06/06

しんぞう個展「スキンシップ」

Img_2347_2先週で終了してしまいましたが、ペインティングのアーティスト、しんぞうの個展が衝撃だったので報告します。


しんぞうというアーティスト名を聞き、作品を見ても、一体どういう人が描いているのだろう?と疑問を持つ人が多いのではないだろうか。絵を見て、性別や年齢を判断するのは難しいし、アウトサイダーアートのようにも見えるかもしれない。でも一度しんぞうの作品を見たら、頭にこびりついて忘れることはない体験ができると思う。終了してからの紹介なのだが、機会があったら是非見てもらいたい作家の一人だ。

Img_2341しんぞうの描く絵を知ってから、本人に初めて会うまで一体どんな人なのだろうと緊張していたことを思い出す。自分が隠そうとしているダメな部分が、見透かされるんじゃないかと思ったのだ。しんぞうの作品は、無駄なものが一切なく恐ろしいほどに対象に向かっているが、その一方で無駄なものの塊を自分や他人の心象風景を通して描いているようにも感じる。強迫的な目や、首や背景もなく浮かんでいる顔、滴る絵具を前にすると一瞬硬直しそして絵を前にしてずっと落ち着かない気持ちになる。この作家は人間をこんな風に見ているのかなと、単純に考えてしまった。こんな人間の本当の姿を見たくなかった、でも本当は皮一枚剥がしたら、みんな血と肉の塊なのだった。
Img_2345もちろん、しんぞうは最初からこのような絵を描いていたのではなく、無駄なものをひとつひとつ削ぎ落としてこの作品まで行き着いている。背景がないことや、画用紙やボール紙にドローイングのように描く、という方法は珍しくはないけれど、美術大学に入って美術の勉強をしてしまうと、方法や手段を一つ一つ削ぎ落としていくのはとても難しい。技術や巧さからいかに離れて真摯に対象に向かうか、ということをここまで誠実に貫いているのだから、同時に見る側も目先の面白さや新しさ、美術の文脈だけに捕われずに自分の感覚を信じて作品に向き合うことが大事だと思う。毎週たくさんの展覧会で、たくさんの作品を見ていると、そういう本質を忘れて消費しているように展示を見てしまうことだってある。自戒を込めて、反省しなくちゃいけない。
Img_2343展示は作品の強度だけではなく、構成も練られていて興味深かった。画廊を入ってすぐに目に飛び込んでくる壁面には、家族の肖像と大きく「スキンシップ」の文字が描かれている。兄弟、母親、石のような父親が皆で、新しく生まれた命を取り囲んでいる。家族の関係を絶妙に表している構成も興味深く、ひとつひとつの絵が孤立しているようだけれど実は繋がっているということがこの壁面を見るとわかる。一番身近な存在だからこそお互いを曝け出せるような家族の関係が、しんぞうの制作の根底にあり推進力となっているのだろう。

しんぞうホームページ http://www.sinzow.com/
越後妻有トリエンナーレ2009、小沢 剛「かまぼこ型倉庫プロジェクト かまぼこ画廊」に出品予定。

しんぞう個展「スキンシップ」
新宿眼科画廊
2009年5月26日(火)〜6月1日(月)
12:00-20:00 (最終日〜17:00) TEL:03-5285-8822

words:水田紗弥子

2009-06-06 at 06:09 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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