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2006/07/08
館勝生展
絵具とキャンバスの戯れ
展示風景
館勝生さんの作品とは90年代半ばに出会った。何かを払拭するようなストロークの痕跡が鮮烈で、見とれてしまった覚えがある。押さえ気味の色彩、キャンバスにたっぷり塗られた絵具の厚みが目に付いた。コンスタントに制作発表を続けている館さんの仕事には、ゆるやかな変化がみてとれる。徐々に画面を覆っていた絵具の占める割合が少なくなり、地色の部分が断然多くなってきた。
作品のアップ
「突き詰めるとそぎ落とされてくる」ということがあるが、塗り埋めることで画面を支配しようとしていた状態から、絵具を置く位置のバランスを模索することで、塗っていない部分の空間を支配できるようになったのかもしれない。一気に描き上げてしまうとてつもない集中力が、絵具とキャンバスの一期一会の戯れを生む。絵具は相変わらず厚く盛り上がっており、横から見ると軽く5cmはあった。えぐられた球体のような形をしていて、爆発後のような飛び散り痕がある。それはまるで己のイメージが形骸化する前に、外に吐き出してしまっているように見えた。
彼のように抽象的な作品を描いている作家から「自由に鑑賞してほしい」と言われることが多い。見る側にゆだねたいという気持ちゆえだろうが、自由に見ることは逆にむつかしいことなのだと実感している。
館勝生展
Oギャラリー
2006年7月3日(月)〜7月9日(日)
無休
火-土12:00〜20:00 日曜11:00〜16:00
入場無料
03-3574-0450
東京都東京都中央区銀座8-11-13 山田ビル2F
〈今後の展覧会予定〉
「VOCA展に映し出された現代−いまいるところ/いまいるわたし」
2006年7月9日〜9月18日
宇都宮美術館
「館勝生展
2006年8月21日〜9月2日
ギャラリー白/ギャラリー白3
words:斉藤博美
2006-07-08 at 05:25 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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