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2004/11/18
project N 19 小西真奈展
「同じようで違う2枚の絵」
左:会場風景(東京オペラシティアートギャラリー)
右:「ピクニック」(Space Kobo & Tomoで展示)
■片方は習作、そしてもう一方は本作だという。同時期に別会場でそれぞれを展示していると聞き、ぜひ見てみたい気持ちにかられた。習作が並んだ小さなギャラリー(Space Kobo & Tomo~11/13)で、東京オペラシティアートギャラリーのパンフレットに記載された本作写真を見ながら「間違いさがしクイズ」のように比較する人は私だけではないだろう。視覚を試されているような気にさせる「比較しがいのある絵」なのだ。
■習作は、輪郭があいまいで、筆の勢いが見た目にも伝わる。だからといって雑な感じはせず、これだけ見ればもともとこんな作風の作家なのだと思うだろう。フィルターをかけたようにぼんやりとした画面は想像を膨らませる。描かれているのは緑地がまぶしい風景。かなり奥行きがあり、日本ではない場所のように感じたが、実は新宿御苑なのだと知り、巧みな変換に驚く。
■そしてオペラシティの本作。小ぶりな習作に比べると一辺が1メートルを超えるサイズで、写実加減がエドワード・ホッパーの作品を彷彿させる。こちらはこちらで文句なく完品なのだが、習作の存在を知っているだけに、ここで初めて出合ったような気はせず、少し想いを引き戻したくなる。
■被写体の写真を撮り、それをもとに習作を制作、そして更に本作へと移行する過程で、必ずしも進化しているのかどうかということ。描けば描くほどリアルにキレイになっていくというのは、もしかしたらまやかしかもしれない。一見、正統なリアリズム作品に見える小西真奈さんの本作に、習作のようなアバウトな筆使いが残されているのは意図してのことだろう。制作の時間軸をクロスオーバーするような表現が模索の痕跡を物語っている。
■同じ会場では「ヴォルフガング・ティルマンス展」と「野又穣:カンヴァスに立つ建築展」が開催中である。見せ方も斬新なティルマンスの写真インスタレーションと、一貫して建造物を描いてきた作家の深遠な世界は、ともに一見の価値あり。ひとつぶで間違いなく3回楽しめる。
project N 19 小西真奈展
同時開催:ヴォルフガング・ティルマンス展/野又穣:カンヴァスに立つ建築展
東京オペラシティアートギャラリー
(京王新線初台駅東口から直結、オペラシティ3-4F)
2004年10月16日(土)~12月26日(日)
12:00~20:00(金土のみ~21:00 いずれも入館は閉館30分前まで)
月休
料金:一般1000円、大高800円、中小600円
TEL 03-5353-0756
words:斉藤博美
2004-11-18 at 12:20 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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