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2004/11/14

小沢剛展

「右か左か迷ったときは」


202_01-1ベジタブル・ウェポン


■先日、電車の中で、森美術館で開催中の「小沢剛展—同時に答えろ YESとNO!」のポスターに見入っている若いサラリーマン風の男性を見かけた。小沢剛を知っているのか、「同時に答えろ YESとNO!」の意味を考えているのか定かではないが、その人は展覧会に足を運びそうな気がした。

■小沢の十数年の活動のなかで、美術館規模では初の個展だ。“かつて日本には醤油画があった”という架空の設定のもと、岸田劉生などの近現代美術を再編した「醤油画資料館」。自分の“分身”を生み出し、異なる制作を展開した「ワンマングループショー」。世界各地の鍋料理の材料で銃を形作り、みんなで料理して食べてしまうという、ブラックユーモアを込めたプロテスタント「ベジタブル・ウェポン」など、これまでの集大成となっている。

■牛乳箱を使った、移動も軽快な世界最小の画廊「なすび画廊」も約400個集まった。1994年にゲリラ的に行った「ザ・ギンブラート」にて、銀座のなびす画廊のそばの木にくくりつけて発表し、以後、内外多数の作家が展覧会を行った。それは、貸し画廊制度(作家が賃料を払って展覧会を行う)への抵抗だったのだが、次第に“人に委ねることで還ってくるもの“自体が面白くなり、「相談芸術」という作品も生まれた。

■小沢は、多くの他者を巻き込んで、複数の作品を同時並行で進める。強者と弱者の関係、二者択一を、人にも自分にも迫らない。人それぞれの曖昧さをたぐり寄せて、新しいやりかたを生み出そうとする。難しい部分もあるが、仕事や生活などでも試してみると道を拓くヒントになるかもしれない。

小沢剛展—同時に答えろ YESとNO!
2004年8月24日(火)〜12月5日(日)
森美術館
(日比谷線六本木駅から直結、六本木ヒルズ森タワー53F)
10:00〜22:00(金土日・祝前日は〜24:00、火曜は〜17:00。いずれも入館は30分前まで)
無休
料金:一般1500円、大高400円、4歳〜中学500
TEL 03-5777-8600 ハローダイヤル

words:白坂ゆり

2004-11-14 at 06:09 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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