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2004/02/23
岡村桂三郎展
「見ておくべきもの」
■ホワイトキューブの画廊がいつもと違うものになっていた。天井に届きそうな巨大な屏風が3体。正面と左右に立ちすくんでいる。コの字型に囲まれた場に入り込む。暗めの照明が効果的で、まるで深い森に入ったような気分になる。そこにはうっそうとした森林ならぬ無数のウロコ。巨大生物らしく目玉がある。それもいくつも。じっとしたたかにこちらを見つめている。
■バーナーでこんがりと焼かれた板で作ったという屏風。ひとつは12曲、他も8曲、6曲とかなりの幅を持つ。従来の屏風のようにそれぞれの山が均一な角度で広げられるのではなく、なかば無造作な角度で立て掛けられている。見る位置によってはほとんど見えない面もある。克明に刻まれたウロコがあまりに広範囲にわたり、他の描線を見失いそうになる。画廊の中にいることを忘れ、一体ここはどこなのかと自問した。
■作者は岡村桂三郎さん。カテゴリーとしては素材的に日本画でくくられるが、そういう線引きにあまり意味はなさそうだ。それよりも現代美術を扱う画廊でやっていることにむしろ留意したい。このような表現が出てくる根源には何があるのか、ということだ。全身で爽快な威圧感を受け取っていると、入れ代わり立ち代わりでけっこう人が来る。この場に入った瞬間のリアクションが、この空間へのそれぞれの心象を物語っていた。
■家へ戻りパソコンで撮ってきた写真を開いてみて、初めてこういう図柄だったのかと把握した。会場では近くでどんなに眺め回しても見えてこなかった全体図。一歩引いてみないとわからない、そういうことは日常生活でもよくあること。
■そして、この会場の雰囲気は写真と文章ではとても伝えられないと確信した。ぜひ実際に足を運んでほしい展覧会である。
岡村桂三郎展
2004年2月23日(月)〜3月6日(土)
コバヤシ画廊企画室
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビル地下1階
(地下鉄「銀座」駅下車、徒歩3分)
11:30〜19:00(最終日は〜17:00)
日休
入場無料
TEL.03-3561-0515
words:斎藤博美
2004-02-23 at 12:00 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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