2003/12/01
澤田知子展
「だれでもないわたし」
OKAMI
■衣装っていうのはそれに包まれるだけで、人を外見だけではなく、人格までも変えてしまう力をもつ。コスプレの趣味を持つ人が世にたくさんいるのは、自分でない自分をもうひとつ作り出すことの楽しさだろう。そこにもう一人の自分がいて、変身した我が身をうっとり見ているのだ。
■澤田知子の新作「Costume」は、職業別の制服、あるいは制服ともいえるようなその職業の定番の衣装を身に着け、澤田本人が被写体になって写真におさまった作品だ。その表情も、女将(OKAMI)のときはこぼれんばかりの満面の笑みで人を迎え入れ、警官(FUKEI)のときには街を取り締まる厳しい表情で相手を見据える。
■いったんCostumeを着けるとまるで中身まで変わってしまったように、多くの人はその場面に順応してゆく。隣同士に並ぶ、作品を見比べてみるのもまた笑える。八百屋のおばさん(YAOYA)とFUKEI、FUKEIとお酒の場を華やかにするOMIZU。すべてが澤田なのに、すべてが違う澤田である。
■だれでもあって、だれでもない彼女の姿を見ていて、この逆があるとするならば、と考えた。制服を着ていても、外見はその職業なのに、そうは見えない人もいるはずなのだ。そうしたなりきれなかった人も恐いもの見たさのようなものかもしれないが、ちょっと想像してみた。
■外見の力を利用することもできる。テンションが下がっているときに、衣装で気合いを入れる。これは女性だけではなくて、男性にも通じる。ほんの少し背筋を伸ばすかどうかの差ぐらいのことで、だれにもなれない人もいるかもしれない。でもそれは、身体を包む衣装のパワーより、強い個性があることをポジティブに胸を張って生きてゆけばいいことだよね。
澤田知子 Costume
2003年12月1日(月)~20日(土)
The Third Gallery Aya
大阪市北区西天満2-8-1大江ビル1F
12:00~19:00(土~17:00)
日曜休
入場無料
TEL 06-6366-8226
words:原久子
左)FUKEI、右)YAOYA
左)OMIZU、右)FUKEI
SHOP TENIN
UKETSUKEJO(部分)
左)OKAMI、右)SHISUTA、中)澤田知子本人
おまけ
2003-12-01 at 11:57 午前 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d01538ef40013970b
Listed below are links to weblogs that reference 澤田知子展:
コメント
素敵な作品ですね。
こんなに魅かれた作品は久しぶりです
投稿情報: 成田 麻衣子 | 2006/01/25 19:23:46