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2003/11/04

異脳七巡り

「異能な衝突」


art192_02_1クレーン謙


■今週火曜に展覧会がはじまるのを待って取材に行った。見てもいないうちに決めるのは性急だが、DMをもらい、このメンツならと確信していた。出品者の半数が知っている作家であり、彼らの活動を久しぶりに見られることを嬉しく思った。それぞれに異端なタイプである。

■壁面の黒いギャラリーということでこの会場を選んだという。入口からして怪しい物体が置いてある。ただ事前情報を持っている私の脳には、なんのためらいもなく入り込める空間だった。入るとすぐ、クレーン謙さんのクセのあるイラストの壁面に遭遇。その世界を立体化したようなキネティックな作品が天井から吊る下がり呆然と回っていた。

■桑田響さんは昔よりも原色が目立ち、描線はうねりが加速していた。タイトルは想像性のあるものだが、それが描かれているという視点で見たところで見えてこない。つまり抽象画なのだが、しつこさが効いていて結構好きな世界。奥山潔さんはエロチックな大型絵画を出していた。ここだけ一層暗く、カーテンをバックにした舞台のような演出。彼の秘めたる才能を垣間見たことがあるだけに自然と深読みモードに入る。

■田村雅紀さんは何年か前からこういう有機的でエグイ物体を手掛けている。その形態のため一見粗雑に見えるが実は細部まで作り込まれていて、気づきにくい部分まで手を入れてある。よくもそこまで…と感心せずにいられない。松浦由貴夫さんの作品は初めて見る。ポルノを絵画化しているそうだが、わりとおとなしめで、ここでは逆の意味で目立っている。あえて既存の作家のタッチに似せているのだろう。西尾周平さんはコンセプチュアルな平面だった。「位置」とも「1」ともとれるタイトルである。残念ながら取材時点では未展示だったが、もうひとつ、映像作品(酒井豊さん)が出品されることになっている。

■全体としては、個が強いゆえにぶつかってる気もした。薄暗い会場で何か気配を感じるのは、作品間を往来する違和感そのものなのか。先入観なく訪れたなら、それなりに刺激はあるだろう。各作家の作品に深入りしたいという欲望が湧けばいいなと思う。

◇おまけ情報◇縄を巻いた会場奥の柱にはおみくじが結ばれていて、それを開いて(逆みくじ?)当たればちょっとした景品がもらえる。

「異脳七巡り」展
2003年11月4日(火)〜11月9日(土)
ギャラリー・ルデコ
東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル5階
(JR・地下鉄「渋谷」駅南口より徒歩5分)
11:00〜19:00(11/9は〜17:00)
無休
入場無料
TEL.03-3498-8555


art192_02_2桑田響「私の姉の女を覗く」


art192_02_3奥山潔


art192_02_4田村雅紀「天・地・人」


art192_02_5松浦由貴夫


art192_02_6西尾周平「I chI」


2003-11-04 at 12:53 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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