« 竹川宣彰展 | メイン | アジア・アート・アーカイヴと香港のアート・サポート事情 »
2003/11/14
岡本純一展 六畳の水槽
「大胆な見立て」
ガラス越しに外からも見えるメイン作品
■その作品には、今年7月銀座のギャラリーで出会った。ホワイトキューブがこれでもかというくらい大きな物体に占拠されていて、居る場所さえはばかられる。アルプスホルンの先のように下方へ太くなる管。大きい方の先端はこちらに向けられており、掃除機の吸引口のようにそこから吸い込まれそうだ。空間全体を水槽に見立て、物体は巨大な魚を想定している。なかなか大胆な見立てであるが、潔い仕事ぶりに心ひかれるものがあった。
■作り手は岡本純一さん。現在六畳一間のアパートに住んでいて、荷物が増殖していく部屋が水槽のように見えてきて、そこでアップアップするかもしれない自分を魚に重ね「六畳の水槽」シリーズがはじまったそう。大仰な立体はそこで苦戦する魚であり、狭い空間でめいっぱい身体を延ばした姿なのかもしれない。
■そして次の個展がはじまった。今度はもう少し天井の高いギャラリーで、ガラス越しに外からも見える空間。案の定、目一杯大きな物体が突如として視界に入ってきた。穴がこちらを向いている。これも魚にちがいない。口をあけた鯉のようでいて、胴体と尾のつなぎ目あたりにも見える。それくらい魚には微妙な曲線があるということか。ちなみに岡本さんは頭部のつもりで制作したらしい。いずれにしてもこのパーツから全長を想像すると楽しい。イメージを素直に広げてくれる健全な作品だ。
■会場内には螺旋階段があり、そこを登っていくと小品が飾られたスペースがある。ブロンズ作品が向かい合っていて、一瞬何かなと考えたが、これらは対で魚の頭部と胴部だとわかる。骨組みだけの構造が時に抽象を思わせ独立した作品となる。
■このギャラリーにはかわいいカフェが隣接されている。いつのまにかアートショップコーナーができていて、新しい楽しみが増えた。
岡本純一展 六畳の水槽
2003年11月14日(金)~12月2日(火)
GALLERY二葉
東京都品川区二葉4-1-17
(都営浅草線「中延」駅A1出口より徒歩3分・A2出口より徒歩4分、東急大井町線「中延」駅より徒歩5分)
11:00~19:00
水木休
入場無料
TEL.03-3781-9648
裏側はこうなっている
螺旋階段を登って行くと出会えるブロンズ作品。頭部
上の作品と対になっている。こちらは胴部
隣接のカフェ二葉亭にはこんな作品も展示されていた
しゃれた作品が並んだアートショップ
2003-11-14 at 12:14 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d014e88e745b2970d
Listed below are links to weblogs that reference 岡本純一展 六畳の水槽: