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2003/10/07
日常に遍在するアート展
「あーとらんだむ」
鷲見麿「選挙不出馬表明ポスター」(1991)
■「日常に遍在するアート 展」のカタログは、「野外活動研究会」の代表・岡本信也と、「めだかの学校」を主宰する鷲見麿の往復書簡からはじまる。そして、4つめの往復書簡で終わる。フィールドワークを行ない、そこで採取したものやデータの記録を思い思いにまとめてゆく「野外活動研究会」の人々。不登校や引きこもり、ハンディキャップをもつ人たちの自然なかたちでの社会参加を唱えて開設された「めだかの学校」。それぞれの活動や思いが率直な言葉で語られている。
■ 私たちの日常のなかには、さまざまな事象に溢れている。そうしたものに触れ、人はなにがしかを表現したいという欲求を覚える。採集し標本的なかたちにまとめることもひとつの表現のかたちだし、写真として記録に残すことや、感じたことを鉛筆や筆をとって絵にしてゆくことも表現のかたちだ。
■ このサイトではいわゆる[現代美術]と世に呼ばれる美術作品を紹介している。これまで紹介してきた作品と、この展覧会で発表されたものを、同じ視点から観ることも、背景をふまえたうえで観て、異なる文脈でとられることも私たち観る側には許されている。
■ 「めだかの学校」に関わる人々の展示には、作り手がどのような成長の過程を経て、いまどうであるか、そうしたパーソナルな情報が必ず付け加えられていた。「野外活動研究会」に関わる人々の展示には、観察した現場(ちまた)の詳細や採集したものの時代背景について書かれていた。
■ 世の中には、いろんなものがあり、場があり、人がいる。彼らの活動はいずれも日常との距離がない。日常に密着しているという点では似ているが、そこでの取り組みはまったく違う。違った活動から生まれたものをいっしょに提示する試みが、この展覧会で意味をもっていたと思う。
日常に遍在するアート
「野外活動研究会」と岡本信也+鷲見麿と
「めだかの学校」
2003年10月7日(火)~19日(日)
名古屋市民ギャラリー矢田 第2,3,6,7展示室
名古屋市東区大幸南1-1-10
TEL 052-719-0430
鷲見麿作品 展示風景
早川朋秀
母親が写したポートレート240枚の一部
大谷真 作品
岡本靖子 作品
おばちゃんたちのファッションにはそれぞれに工夫がなされている
岡本靖子「モンペ端切れ集 」
(採集/1975~80年 中部地方で。制作/1980年)
壁=前田幸三「中小田井絵図」
(名古屋市西区、1984~89年採集)
2003-10-07 at 09:20 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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