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2003/10/06

寛長めぐみ展

「花のいろは移りにけりな」


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■カフェやアートグッズを扱うショップもあるアートスペースで開催されている展覧会でまっ先に目にした二枚の写真。日中の光が射す室内で撮られた女性に、その
瞬間も会話をしているかのような温度を感じた。寛長めぐみさんは、大阪芸術大学写真学科の学生。被写体となっているのは彼女の祖母で、どれも真正面から撮影されている。

■花の写真が何枚かある。風に揺れている赤いカンナの花。印象的な赤い色とその個性には力強い存在感があるが、風に吹かれて揺り動かされる果敢なげな様は、女性の姿も想像させる。

■ぽとりと音がして、振り向いてみたら近くに咲いていた赤い花が地面に落下した音だった。それが、生きるという事について思いを巡らすきっかけとなった出来事であり、花と祖母のイメージが重なったのだという。

■さまざまな人の生活空間が収められた写真集を書店で長いこと眺めてしまうことがある。それは他人のプライベートをのぞいてみたいという興味だけではなく、そこに、生きている時間のリアルな空気を感じるからだと思う。祖母の生活する部屋の写真や、散歩の途中に見るような日常的な風景には、彼女と祖母の間に流れる時間の空気がある。

■写真はこの一年間を通して撮ったものなのだそう。私の記憶に残っているただひとりの祖母は、私がもの心ついた頃には既に老いていた。今では、誰かから「おばあちゃんの話」を聞くと、自分も随分昔の記憶を呼び起こそうとすることがある。鮮やかな花と日常の断片を撮ったような写真に、いきいきとしたふたりの時間を追体験するような気分だった。


寛長めぐみ展「明かし、紅し花」
2003年10月6日(月)~10月12日(土)
neutron
京都市中京区寺町通三条東入ル石橋町5-1イシズミ三条ビル5F、地下1階
(地下鉄東西線「市役所前」駅より徒歩5分、京阪「三条」駅より徒歩10分)
11:00~23:00
無休
入場無料
TEL.075-221-4588

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2003-10-06 at 12:55 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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