2003/09/02
HOSOMI TO CONTEMPORARY 001 - STARTART -
「展示は展示室の外」
会場入口
■美術館の入口ですぐに目をひく「全体駅」という文字の看板。写真を撮っていたら、「ぜんたいえきって何だ?」という道行く人の声が聞こえてきた。現在、「珠玉の日本美術」というコレクション展を開催中の細見美術館だが、その案内板よりも石川亮氏の「全体駅」の看板の方が目立っている気がした。昨年夏、この企画のプレイベントで、ユニークな展覧会を開いていた細見美術館のオープンスペース。今回のHOSOMI TO CONTEMPORARY 001 - STARTART -では8名のアーティスト達が作品を出品している。
■あちらこちらから聞こえてくる涼しげな金属音が会場全体に響いている。階段に設置されている装置が一定の時間ごとに鳴る少年少女科学クラブの作品。階段の手摺に耳をあててみると、空間に響く音とは違う振動音も聞こえてくる。
■美術館最上階にあるお茶室の縁側に展示されている鳴海愛の「遠い夏休み-Long Summer Vacation」。よくある光景であるかのように、簾からヘチマ下がり、縁の下には犬が寝そべっている。縁側の障子が閉まっている時は、置き物のようにしか見えない。けれど、茶室の障子が開き、中でお茶がたてられる時間にその光景を見ると、まるで舞台の演劇の一場面のような、ユーモラスな情景に見えて面白い。
■西原秀倫の子どものいたずらのような作品に気づく人はどれくらいいるだろう?場所もときどき移動しているのだという。設置場所が記されたマップを片手に持って歩いても、なかなか見つけることができなかった。他にも、コインロッカーの中で上映されている映像作品、カフェの入口近くの空間インスタレーションなど、作品は美術館のあちこちに潜んでいる。
■茶道具をはじめとする日本美術を収蔵する細見美術館。普段は展示空間として使用されていない、通路、ミュージアムショップ、お茶室などのあるオープンスペースに、いつもとは違う新しい雰囲気が漂っている。かくれんぼのように、よく探さなければ見つけにくいものもあるが、あちらこちらに作品が展示されている。マップを見ずに通路を歩き、自分で作品を「発見」するのもきっと楽しいに違いない。
HOSOMI TO CONTEMPORARY 001
- STARTART -
2003年9月2日(火)~9月23日(火・祝)
細見美術館・オープンスペース
京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
(市バス「東山二条」下車徒歩3分、地下鉄東西線「東山」駅下車徒歩10分)
10:00~18:00
月曜日休館(祝日の場合は火曜日)
入場無料
TEL.075-752-5555
会場風景
カフェ入口
コインロッカーの中でも映像作品が上映されている
最上階お茶室の縁側
2003-09-02 at 09:02 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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