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2003/09/06
中西信洋展
「誘惑する洞穴」
インスタレーション「Blank garden (空白の庭)」
■「空洞と空白」とタイトルのついたこの個展で、中西は空間をポジとネガの関係に置き換え思考している。これは「陰/陽」というふうにもとらえることが可能だ。存在に対する考え方がまったく逆というわけではなく、隣り合わせに混在させているような意識で中西は作っているという。
■壁や床面、天井など、その場を覆い他との境界をつくるすべての面からグレーの物質がもぞもぞとわき出していた。「black garden (空白の庭)」と題した、吹き抜け空間を最大限にいかしたこのインスタレーションをまず目の前にしたとき、鳥肌がたつような衝撃が体中を走った。
■)流れ出したものが隆起して出来あがったような、巨大なキノコ型の立体、デコボコの柱などが再生紙でつくられている。そこに生まれいでた空間が外からの侵入者である私たちを包み込み、蛇行する隙間を歩くと日本庭園を回遊するのにも似た感覚を覚える。
■グレーの物質から免れた壁の空白を中西は空洞というふうにもとらえている、という。彼は「空洞はなにかの内部、空白は外側、表面はそれらの間を仕切る」と書いている。私たちはつねにこの展示空間においてはネガとポジの間を行き来させられる。
■インスタレーションを見渡すことのできる2階では、ガラス板の上には透明樹脂で作られたオブジェ群「polka-dot cave(水玉の空洞)」がある。これらのオブジェはひとつひとつが個体であり、水玉がネガ/ポジ状態になっている。しかし、掌に載せ、重さを感じることが出来るにもかかわらず、静かにうねる海に突き落とされたかのように、見る側はゆっくりと、だが気持ち良くもがかねばならない。やみつきになってしまいそうな心地よい苦しさを教えてくれるこの困った作品に魅了されたい人はぜひ足を運んでもらいたい。
Nomart Project #02_10
中西信洋展 空洞と空白
2003年9月6日(土)~9月26日(土)
ノマルエディション/プロジェクト・スペースLOFT
大阪市城東区永田3-5-22
(地下鉄中央線「深江橋駅」より徒歩8分)
12:00~19:00
日祝休
TEL.06-6967-1354
インスタレーション「Blank garden (空白の庭)」部分
2階から見下ろしたインスタレーション「Blank garden (空白の庭)」
「polka-dot cave(水玉の空洞)」透明樹脂、ガラス
「polka-dot cave(水玉の空洞)」
「polka-dot cave(水玉の空洞)」部分
「polka-dot cave(水玉の空洞)」部分
2003-09-06 at 08:56 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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