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2003/09/17

文殊の知恵熱 第13回公演 サニーサイドアップ

「おじさまたちのたくらみごと」


art189_02_1これがラジオ仮面


■文殊の知恵熱には不思議な吸引力がある。音楽&美術&舞踏のおじさま3人のユニット(とうじ魔とうじ・松本秋則・村田青朔)で、台詞もなく、坦々と奇妙な道具を使ったショーを展開していくのだが、これが老若男女にウケてしまうのだ。1997、2000、2003年と3年毎のサイクルで「文殊」を見てきた私であるが、今回は文殊のツボ探究といきますか。

■会場は舞台がぐるっと観客席に囲まれた円形劇場。観客同志が遠からず対面しているので、なんとなく視線のやり場に困ってしまう。そうこうしているうちにタケコプターに似たカブリものをつけた3人が舞台外の出入口からそれぞれ登場した。彼らは会場外の円形廊下を闊歩し、観客の視線は彼らを追って入り乱れる。そのうちに舞台中央に設置されていた銀色のバルーンに空気が入りはじめ、それが満タンになったと思ったら、おじさまたちはそれに身体ごと絡みついて無邪気に遊びだした。村田さんの笑顔がまぶしすぎる。やがて笛のような音をたてながらバルーンは萎んでいく。バルーンの形こそ違うがこのネタは定番なのである。

■文殊の人気キャラのひとつ、ラジオ仮面も登場。上唇と下唇を接触させることでラジオがスイッチオンになり、彼らが口をパクパクするたびに仮面に取り付けられたスピーカーからどこかの局音が流れてくる。それらの音が台詞のようになり、彼らは会話をはずませる。観客席からは笑い声。

■糸をかき鳴らして音響を自在に操るとうじ魔さんの芸も面白かった。上空をコウモリおばけのような怪物が縦断し、怪物の雄叫び音を自ら出しながら怪物を追い払うのだ。怪物が無事に渡り終わるまでちょっと緊迫した空気が流れた。

■ペットボトルでつくった音の鳴る楽器、巨大な竹トンボのような遊具、今回もいろいろな小道具が登場した。全て松本さん創案の手作りである。舞台で回していた遊具を近くの観客に「まかせた」と渡し、また別のモノを手にして戻ってくるおじさまたち。観客間でも道具の手渡しが次から次へと連鎖して、気がついた時には多数の観客が舞台に上がり、竹を回したり、音を出したり、バルーンと戯れたりしていた。文殊の不思議な小道具に触ってみたいと思っていた人も少なくないと思うが、その願いがかなえられたわけだ。

■彼らはといえば、おもちゃ箱をひっくり返したようなこの状況を、2階の通路から涼し気に見下ろしていた。文殊の企みにまんまとしてやられたり。…手強いツボが健在していたのである。

文殊の知恵熱 第13回公演
サニーサイドアップ
2003年9月17日(水)
青山円形劇場(こどもの城)
東京都渋谷区神宮前5-53-1
(営団地下鉄「表参道」駅下車、B2出口より徒歩8分)
19:30〜
入場前売3500円、当日3800円
TEL.03-3797-5678
とうじ魔とうじHP
http://www004.upp.so-net.ne.jp/toji/
この公演はDVDになって2004年1月下旬に発売予定
http://beyondo.net


art189_02_2松本さんは音の出る車輪に入りハムスターのように回転しながら進んでいく


art189_02_3効果音を出しながらコウモリのような怪物と戦うとうじ魔さん


art189_02_4遊具のような竹の楽器を持った3人が登場


art189_02_5いつのまにか観客が演者に


art189_02_6観客席にも銀色の巨大バルーンが飛んできた


2003-09-17 at 02:45 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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