2003/08/18
六感の森展
「未来のニオイをかいでみよう」
入り口からして怪しい雰囲気。会場へは小さな穴をくぐり入っていく。
■この展覧会からの帰り道、携帯電話を開いたら細かい髪の毛が何本も出てきた。何これ…薄気味悪い。バッグのポケットにも同じような毛が入っていた。ゾーっとしたが、そういえば思い出したのだ。展示会場に髪の毛でつくったゲートがあり、その狭い隙間をくぐった時に侵入したものではないかと。
■もともと暗い会場だった。最初は何かの毛皮が敷きつめてあるのかと思い、平気で上がり込んだが、毛足の長さで人間の髪の毛だと確信する。その時は気味が悪くもならず、へぇよく作ったなあと感心していたが、さすがにあとになってその残骸に遭うと平静ではいられなくなる。第六感の刺激とはこういう予期しない感覚に襲われることかもしれない。そんなことをぼんやりと考えながら、この展覧会での体験を振り返りたい。
■入り口からして何かを予期させる演出だった。ガチャポンが置かれ、300円でひとひねり。カプセルの中にはバッジが入っていてそれが入場券となる。ちなみに私にはオオカミバッジ(by鴻池朋子)が落ちてきた。森へは穴をくぐりぬけて入っていく。薄暗いがらんとしたスペースにはスポットを当てられた作品が点在している。気配がして振り向くと座っている羊が目についた。人間大のぬいぐるみか。あとで見た時は肉の塊になっていて唖然とするが、どうやらパフォーマンスに出かけてしまったらしい。
■床には映像の池があった。4作家の映像が静かなシャワーのように流れていく。白色LED(発光ダイオード)というハイテク素材で「驚き盤」を制作したのは岩井俊雄。植木鉢と洗面器で目の錯角を利用したアニメーションを展開している。洗面器は驚き盤の元祖・古川タクとのコラボレーションだ。
■磁場を修正する伊丹裕の「惑星磁場修正計画」や紙粘土細工のオブジェ(やまぎしゆうこ)、馬場美次の赤く輝くライトアートも心地よく、耳を澄ませばサウンドアーティスト・平石博一の壮大な音楽が身体に浸透してくるよう。会場を見渡すとふたつの壺が呼んでいた。左右同時に中から石を取り出しなさいとの指示。そこへ書いてある言葉が私へのお告げだという。左手で「未来」、右手で「のニオイをかいでみよう」を掴んだ。
■「六感=五感の向こうにある深い森」をイメージしたという同展。美術作家、メディアアーティスト、映像作家、絵本作家、ゲームデザイナーら多ジャンルのアーティストたち20数名が集い、ひとつのテーマに向かって作りあげたエンターテインメントな空間となっている。これまでに味わったことのない感覚が貴方の中で目を覚ますかもしれない。
六感の森
2003年8月18日(月)~9月4日(木)
アクシスビル
東京都港区六本木5-17-1
(営団地下鉄日比谷線・都営大江戸線「六本木」駅下車、3番出口より六本木交差点から外苑東通りを東京タワー方面へ徒歩8分)
11:00~19:00 無休
入場料300円(会期中有効)
会期中の問合せTEL 03-5575-8655
※8/30、8/31、9/1に関連イベントあり
words:斎藤博美
床には池のような映像空間が。鴻池朋子さんの作品を上映中
岩井俊雄&古川タクさんのコラボ作品「驚き盤インスタレーション」
ふたつの壺から同時に石を拾うとお告げの言葉が…「インタラクティブ」by大山功一
髪の毛でできたゲートは地石浩章作品
自身が羊に扮して出かけてゆくパフォーマンスは、のぎすみこ作
2003-08-18 at 09:12 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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