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2003/08/02

ヤノベケンジ展

「地上に落ちた実った果実」


art186_03_1エントランス


■展覧会の予告編ムービーがネット上に掲載されていた。「構想33年、制作期間13年、総予算 沢山(勿論 赤字)…..水曜休館」仰々しいアナウンスとともにこの文字が画面いっぱいに出てくる。よく映画の予告編にあるあれだ。

■13年前に発表した作品「タンキングマシーン」からこれまでに作った作品が、所狭しとずらりと並ぶ会場。この展示会場に観客を誘うかのように美術館1Fエントランスホールにはレールが敷かれ、台車に載った白い大理石には「MEGALOMANIA 1971~2003」の文字が見え、導入からわくわくするような展示になっている。

■自分を守るための「妄想砦」を作ったヤノベは、チェルノブイリで現実を目の当たりにした彼が作ったのは「地上最後の遊園地」。そして今、ヤノベケンジは時代のひとつの切れ目にある種の区切りとして今回のMEGALOMANIA展に挑んだように思える。

■6歳のヤノベが引っ越してきた地がまさに今回の会場となっている万博公園の近所だった。70年万博を終えたばかりの公園は格好の遊び場としてヤノベ少年の心をつかんだ。取り壊されてゆくパビリオンは廃墟として彼の目に映り、そうした場所が彼の想像の世界をどんどんと膨らませていった。

■「未来の廃墟」としての万博会場。そのシンボルとしてあったエキスポタワーも昨年12月に解体された。今回出ている新作はこの廃材であるパーツを貰い受けてつくり出したものだ。解体前にタワーに昇ったヤノベはそこに驚くべき光景を見た。地上130mの地に植物が生息していた。ここから採取した植物を新作の中央に据えている。

■万博をもっとも象徴するもののひとつ岡本太郎が作った「太陽の塔」。これにもヤノベは深い思い入れを持っている。33年の時を経て、万博公園も変わってゆく。会場となっている国立国際美術館も今年を最後に、大阪市内へと移転する。ヤノベは解体されてゆくエキスポタワーについて、"成熟して実った果実が落ちてゆく"とポジティブな表現で言い表した。美術館内に広がっている「妄想の都市」でさまざまな体験をすることが可能な展覧会となっている。


ヤノベケンジ展
MEGALOMANIA
2003年8月2日(土)~9月23日(祝・火)
国立国際美術館
吹田市千里万博公園内
(モノレール万博公園駅下車)
10:00-17:00(入館は16:30まで)
水曜休館
観覧料/一般420円、大学生130円、高校生70円、小中学生無料
TEL.06-6876-3320(テレホンサービス)


art186_03_2オープニングでは鼓笛隊が演奏しながら会場内を行進。最後は新作の前に整列。


art186_03_3アトムスーツ・プロジェクト タワー


art186_03_4エキスポタワーの廃材を用いた新作の内部


art186_03_5マンマ(ISSEY MIYAKEのショップでは更衣室になっている。今回の個展のために大阪までやってきた)


art186_03_6会場風景


art186_03_7会場風景/中央にはタンキングマシーン


2003-08-02 at 02:18 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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