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2003/07/15

C_O_O_P #2 MEETING POINT

「出会いのポイント」


art185_02_1秋廣誠「IAMAS:I am a sight」。第1展示室に入るとまず目をひくコンセプチュアルな作品。


■「こんな居場所を探していた」。迷路のように仕切りの入った段ボールハウスの中を進む。一番奥まった部屋に入り、隅っこに座って次々と映し出される廃虚と化した窓辺のスライドを眺めながらそう思った。左側から吹いてくる扇風機の風が心地よかった。暗い押し入れのような閉所は苦手だが、適度に狭い場所はリラックスできるもの。背中を壁にぴったりくっつけ安堵感を味わった。

■この展覧会、2つのフロアにそれぞれ隔離部屋がひそんでいる奇妙なものだった。上の階には、ステッカーがめいっぱい貼られたロッカータンスがあり、その中が奥の部屋への通路となっている。中は薄暗い小部屋で、くつろげそうな椅子と3台のCDラジカセ、壁にはCDがレイアウトされ「ご自由にお聞き下さい」の表示。壁から突出した透明アクリルケースの作品ごしに外光がもれていて、完全なる隔離ではないと分かる。「棲室」と名付けられた、まさに展示室の中に部屋がひそんだ作品である。

■C_O_O_Pのメンバーはすべてアーティスト。フランス、ドイツ、スイス、日本と出身はバラバラだが、出会いを生み出すために形成したネットワークでつながっている。お互いの制作コンセプトに関与することなく、各自の張っているアンテナを集約させることで相互交流を活性化したいという意図がある。世界の様々な美術事情を把握し、現代に対応できる流通システムを模索するため、昨年フランスで第1回展を開催した。2回目となる今回、日本で活動している作家や団体と連携し、交流を通して情報交換の場が広がることを目指している。「MEETING POINT」というタイトルはそうして付けられたものだ。

■出品作家は全部で7人。来日して、日本でインスピレーションを得て制作した者もいる。冒頭の段ボールハウスは、ホームレス事情を知った作家が制作したものだ。3部屋の間取りを持ち、別の部屋では、彼が様々な建物の隙間に入り込み扉で外界と断絶することを試みたユニークな映像が見られる。

■閉じ込められた空間で未知の音や映像に包まれていると、次第に思考速度が減速して、もとに戻るまでひとめぐり。それは私にとって嬉しい体験だった。

「C_O_O_P #2 MEETING POINT」展
2003年7月15日(火)~8月8日(金)
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
(JR「千駄ヶ谷」駅より徒歩5分・JR「信濃町」駅より徒歩6分・都営地下鉄「国立競技場」駅A3出口より徒歩3分)
10:00~17:00(金は~19:00)
日祝休
入場無料
TEL.03-3358-6021

連携企画
Young-ho YOO展
7月22日(火)~8月3日(日)
gelerie weissraum
京都市左京区川端二条下がる孫橋町12
TEL 075-761-8565

提携協力団体N/L/0 交流企画展 CAMP
Part1)7月28日(月)~8月8日(金)
Spica Museum
東京都港区南青山4-6-5
TEL 03-5414-2264
Part2)7月28日(月)~8月8日(金)
Art Planning Room AOYAMA
東京都港区北青山2-12-27パル青山2F
TEL 03-3404-9543


art185_02_24階の展示風景。左手前に「棲室」への入り口が見える


art185_02_3Bernhard KINZLER作ミュージック・クラブ「棲室」はこんな空間。右は菊池省吾作品


art185_02_4山手線29駅からの風景をドローイングしたKatia GAGNARD「TOKYO RUNNING part1


art185_02_53階の展示風景。奥には段ボールハウス、右の作品はTina HAUSER「THE BEAUTY #11.2000」


art185_02_6段ボールハウスEtienne BOULANGER「BERLIN PROJECT 01/02」に潜入すると出会える画像作品。


art185_02_7土屋貴哉「1/1スケール」。他にもモノを言いたげな作品がいくつか点在している。

2003-07-15 at 02:44 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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