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2003/07/05
志賀理江子展
「時を超えた物語」
入口の木箱には8000枚の写真
■100枚以上に及ぶ大小さまざまなサイズにプリントされた写真が黒いカーテンを吊るした壁にぎっしりと並んでいる。部屋の中央にはテーブルがあって、メトロノームと大きな真鍮の鍵、白い皿の上には2つのリングが載っている。白いボタンのついたカーディガンはいつも志賀理江子が部屋で着ているものなのだという。
■写真には人や、電話などの日常生活の中にあるものが写っている。カラーフィルムを用いているが、ほとんどモノクロのようなプリントには時折赤だの黄色だのという色が深いトーンで重なる。会場にはオノセイゲンがこの個展のためにセレクトした?曲が入ったCDが、1日に3回かかる。5つのスピーカーがあって、音に包み込まれる。無音のビデオ作品(40mins.)も黒いカーテンの上に投影され、はじめキラキラと点滅をはじめた光の粒が奥行きのある空間のなかでどんどん増えてゆく。
■志賀の写真に写っているモデルは皆同じアパートに住むご近所の人たち。彼女はロンドンの美大でいま学んでいるが、アパートはどちらかというと下町にあって、4人でフラットをシェアし、同じ棟に住んでいる人たちも年金生活者などが多いのだそうだ。昼間もじっと家の中いることが多い年輩の住人、毎日夜遅く帰宅する同居人のひとり....。志賀は彼女の部屋をスタジオ代わりにして、そんな彼らを撮り続けている。いろいろな次元でいろいろな相関関係をもちながら、写真は壁に並ぶ。それらを観ながら、いつの間にか物語をつむぎはじめている自分に気づく。
■黒いカーテンで仕切られたギャラリースペースの手前に木製の長い箱があり8000枚もの写真が整然と縦に入っていた。引き出しても、真っ黒で何も写っていないように見える。中に数枚ぼんやりとした光が写っている写真があった。写真を取出す。具体的なイメージが写っているわけではないが、その闇のなかに光で出来た物語が沢山隠されているように思えた。
志賀理江子個展
「明日の朝、ジャックが私を見た。」
2003年7月5日(土)~27日(日)
graf media gm
大阪市北区中之島4-1-18 graf bld.隣
12:00~21:00
第1・3月曜休
入場無料
TEL.06-6459-2082
words:原久子
会場風景
(c) Lieko Shiga
(c) Lieko Shiga
(c) Lieko Shiga
(c) Lieko Shiga
額装して展示した写真
他の壁面の展示の様子が映り込んでいる
2003-07-05 at 12:52 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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