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2003/06/15

第50回ヴェニス・ビエンナーレ

「venice 遊覧 2003」


art183_03_1日本館の入口付近


■今年50回目を迎え、100年以上続く国際展ヴェニス・ビエンナーレがはじまった。2年に1度の現代美術の祭典といってもいい。総合テーマは「Dreams and Conflicts(夢と闘争)」。フランシスコ・ボナミが総合ディレクターを務める。

■日本館は長谷川祐子(金沢21世紀美術館準備室学芸課長)をコミッショナーに迎え、「Heterotopias(ヘテロトピアス)」(=〈異なる場所〉という意の造語)をテーマに、小谷元彦、曽根裕という2名のアーティストが参加して作品展示をおこなった。

■「〈私たちを日常とは違う非日常的なところに連れて行ってくれるのだけど、現実に存在する場所である〉そこがポイントなんです」とは、開催1ヶ月前に取材したときに長谷川氏から出た言葉だ。最上の楽園ともいえる曽根の《ダブルリバー島》もその模型を観ながら、観る者自身の楽園を想像し夢を膨らますことができる。

■小谷は細かな突起物のついたトンネルのなかの2つの彫刻と点滅するフラッシュライト、トンネルの外の彫刻と、映像作品という構成。白、透明で作られた作品を見せた後に最後にカラフルな映像を上映。微妙な質感から受ける触感など、抽象的だが確かな感覚を与えた後に、具体的な映像を見せたのはかなり意図的ととれる。

■日本以外も各国とも、興味深いアーティストの作品をもってきていた。今年の国別パビリオンは63館とこれ迄で最も多いという。その激戦のなかで金獅子賞を受賞したのは、ルクセンブルグ王国だった。スー=メイ・ツェ(1973年生まれ)の「Air Condi tioned」という作品。

■国別パビリオンのなかでも、印象的だったいくつかのうち、オーストラリア館とデンマーク館を紹介しよう。オーストラリアのP・ピッチニーニの「WE ARE FAMILY」のつくった新しい家族たちは本物の人体にも似ている。生命倫理などの問題を扱ったおもしろい作品だった。そして、約4ヶ月前からヴェニス入りして設置をはじめたというデンマーク館のO・エリアソンのパビリオンの内外を入れ子構造にした作品も秀逸だった。

■アルセナーレ会場でも様々なキュレーターによる展示が行なわれたが、モリー・ネスビット、ハンス=ウルリッヒ・オブリスト、リクリット・ティラヴァーニャが企画した「Utopia Station」は、ポスター・プロジェクトで数多くのアーティストの参加を得た。オノ・ヨーコもこの企画に参加し、連日会場に現れてカードにメッセージを書いてオリーブの枝に結ぶ等していた。

■コレール美術館では絵画展が開かれているが、副題には「ラウシェンバーグからムラカミまで 1964~2003」とある。ムラカミとは御存じ村上隆のことである。展示室のはじめの部屋では、ルイ・ヴィトンのために作られた村上隆のアニメーションが流れていた。記録的な猛暑のなか開会したビエンナーレは、これから約4ヶ月間11月2日迄続く。


第50回ヴェニス・ビエンナーレ
la Biennale di Venezia
2003年6月15日(日)~11月2日(日)
イタリア・ヴェニス市主要3会場(ジャルディーニ会場、アルセナーレ会場、コレール美術館)ほか市内各所
10:00~18:00(月休)
入場料:3会場18ユーロ、2会場13ユーロ、1会場10ユーロ(10人以上のグループ割引きほか各種割引き有)
チケットに関する問い合わせ
+39-(0)41-5221317

art183_03_2自作のうえでポーズをとってくれた曽根裕


art183_03_3小谷元彦作品


art183_03_4小谷元彦作品


art183_03_5小谷元彦作品


art183_03_6小谷元彦作品ビデオの前にかじりつく子供たち


art183_03_7オーストラリア館、パトリシア・プッチニーニ「Game Boys Advanced」


art183_03_8デンマーク館、オラファー・エリアソンの作品の一部


art183_03_9
作品のかたわらでインタビューを受けるオノ・ヨーコ

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*小谷さんのビデオを上映していた29インチモニターはpanasonic製


2003-06-15 at 01:23 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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