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2003/06/06

押川東一郎展

「孤高の一手」


art182_02_1「変わらずの庭(0303)」


■和室を画廊にみたてたシナプス画廊というスペースを5年ほどプロデュースしていた押川東一郎さん。2000年に休止して以来、自身の創作活動に専念している。お座敷画廊の噂は当初から聞いていたものの、結局訪れることのなかった私。押川さんの作品に出会うのも同展が初めてだった。

■太く黒い輪郭にビビッドな色彩。プリミティブな臭いもしなくはないがむしろ原始よりも幻視。幽霊らしき影が画面に見うけられる。本人曰く「不健康な絵」。確かに健全な精神で描いたらこうアングラ的にはならないかも。でも社会や世界が病んでいる今日、孤高の精神でとことん負の部分を見せてしまうのも一手だと思う。

■犬のような動物、カブト虫もどきの生き物、人のような蟹など、文字にしてみると何となくうすっぺらいが、画面では凛と存在している。それらに何を重ねて見るかはその人次第であり、おそらく押川さんの絵に共鳴する人は、なんとなく吐き出せないカタマリを腹底に抱えている人じゃないかな。

■今回ガラス絵に初挑戦したそうで、片側の壁面はすべてそれだった。ガラス絵イコール難しいと思っていたのが、コツさえつかめばそんなに大変ではないらしい。油彩で描くという自分にとって新技法の仕事が楽しいし発見もあるそうだ。

■電話をかけながらペンが動いてしまうような無意識の描写が、描く時に意識的に出てくるようになりたい、と語る押川さん。岡本太郎のアトリエがある街に住みながら、底知れぬパワーをまだまだ堆積し続けている。

押川東一郎「変わらずの庭」展
2003年6月6日(金)~6月14日(土)
南青山・土火(DOKA)東京都港区南青山7-1-12
(営団地下鉄「表参道」B1出口より徒歩10分または「渋谷駅」東口から都バス1番「新橋行」1つ目の停留所 「青山学院中等部」下車徒歩2分)
12:00~19:00(会期中無休)
入場無料
TEL.03-3407-3477

art182_02_2右手前から「吠える」「世界」「囚われ」(いずれもペンと水彩による作品)


art182_02_3「因果」


art182_02_4「隠された進化」(左)と「社会学(大衆の意志)」(右)


art182_02_5「街・都市」


art182_02_6会場風景


2003-06-06 at 01:35 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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