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2003/04/04
梅佳代写真展
「老人と子供のポルカ」
「男子」より
■心なしか関西弁のドラマやCMが増えてきた。昔から、ガッツでいかなきゃ、という時代には、関東とは違うたくましさと笑いのイメージを求められるのかもしれない。
■梅佳代の撮った、男子小学生のシリーズは強烈だ。このアホアホパワーは懐かしい。いや、大阪の中でもこてこての地域なのか? 石川県から写真を学びに大阪に来て、はじめて取り組んだ「人」のシリーズ。かわいい子供写真が多い中で小気味いい。だいたいワークショップでだって、子供との距離を縮め過ぎるとプロレス技とか束になってかけてくるものだ。梅佳代も追いかけられたり、蹴られたりしたという。一期一会の茶目っ気と、小学校に撮影に通う間に自らポーズを撮るようになった人たちのふざけ方が違う。自我まるだしのあられもない姿は、一線を越えている。少年の暴力的なエネルギーを引き出しちゃってる。梅佳代はその前線で戦っている。これもアートだということではなくて、写真としていい写真も私は紹介したいのだ。
■ジャージ姿の体育教師に呼び止められたとき、梅佳代は「この人たちはステキだから」と説明したが、子供が自分でシャツをめくっている写真におとがめを受けたという。また、女子による嫉妬の眼差しも受けた。(女子は生まれたらすぐ女になる)。体育教師はたぶん男子をエスカレートさせる怖さを、女子は年上の女への敗北と「私にだけ見せてほしい素の姿」を感じ取ったのかもしれない。すべての写真とはいわないが、梅さんへのねじれた恋のアピールが混ざっている。1年後の彼らには、客観的な恥ずかしさが芽生えてしまって撮れなくなってしまったそうだ。一番最初に撮った人が「撮っておいてくれてよかった」と言ったという。彼らは今や中学生。ちなみに梅さんは、3列目にそっと写っているような人がタイプらしい。
■祖父の姿には人生が現れている。ただいるだけでも、いい写真になっている。老人は師匠だ。子供と親、上司と若者など、直接的な関係よりも隔世的な関係の方が対立しにくい。家族の枠に縛られず、子供が老人に悩みを打ち明けられる場所があるといい。もしピントはずれですかされても、子供は察する。
■他にも女子中学生やおばちゃんシリーズと陽気な写真があふれている。この日私はミスをしてしまったのだが、その時間差のおかげで虹が見られた。誰かに迷惑をかけたわけじゃなし、今日はこれで佳しと思った。
秘密実験003 梅 佳代 写真展-うめかよ展
2003年4月4日(金)〜27日(日)の土・日のみ
site
渋谷区恵比寿1-30-15サイトビルB1
(恵比寿駅東口左手階段を降り、サンクス、セブンイレブン過ぎ、徒歩7分)
12:00〜20:00
TEL.03-3441-6970
words:白坂ゆり
「じいちゃんさま」より
花がたくさん飾られている。スライドと、皆でカラオケで歌った真心ブラザースや中村一義が流れている。
2003-04-04 at 01:48 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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コメント
情熱大陸見ました。梅佳代さんの作品に、笑い、ほのぼさ、へーえ・・・の連発でした。よく見る光景の一瞬を、すかさず・逃さず写し取っている作品は、とっても・2・すばらしいと思います。ちょっとお茶目なおじいちゃんにも長生きしていただきたいです。情熱大陸の最後・・・うわー大変・・・うんこ・・・って書いてある・・・さいてー・・・!の締めも面白かったです。・・・
ps・うんこ・・・あっても嫌だし、踏んづけたらサイテーだし、拭き取ったあとも、なぜか皆・臭いを嗅ぐと思うし、あの何とも言えない臭さと言うか、ある意味哀愁と言うかネ・・・何しろ、うんちんぐスタイルはどの動物もコッケイですヨネ! 今後も、世間を楽しませてくれる作品を自由に撮っていって下さいませ。
投稿情報: doki2waku3 | 2007/01/15 1:49:39
コメントありがとうございます。しかし、自分のレビューはアホかと思いますな。
「情熱大陸」見ていないのですが、梅佳代さんフィーチャーされて何よりです。
最初は美術手帖の特集で、当時編集者いまライターの宮村周子さんに写真見せてもらったんですよ。ショーゲキでした。
写真集も売れているかな。
投稿情報: 白 | 2007/01/16 14:51:08