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2003/04/08

ファッションの意識改革 かくれんぼ  

「街にとけ込む」


art179_04_1月岡彩「新カクレンボ大作戦〈瞬間自動販売機スカート〉」


■今年1月から通年開館がはじまった京都工芸繊維大学構内のアート&デザインフォーラムで現在4名のデザイナーによるファッションの展覧会が開催されている。「個性のなかに閉じこもらないで、自分と社会との共通部分を探してみること。」個性を育てる、個性を尊重するといった言葉を聞くことが多い昨今。個性のなかに閉じこもらない、というチラシ冒頭の文章が新鮮に感じられて足を運んだ。

■自動販売機の形そのものに早変わりする月岡彩の〈瞬間自動販売機スカート〉。最初、この作品は町の風景に同化するというより、逆に目立ってしまうのではないかと思ったのだが、それは外れた。このスカート、展示室だけでなくエントランスホールにも本物の自動販売機2台に挟まれて設置されていたのに、帰り際まで全く気づかなかった。マンホールのバッグも、もし道端に置かれていたら、気づかずに踏んでしまうかも知れない。

■絵画のように、キャンバスと服が一体化した荒川眞一郎の作品は、赤や白一色の壁から服が浮き上がっているような不思議な立体感がある。お菓子の包装紙やジュースの紙パックが素材に使われているアネッテ・メイヤーの色鮮やかなスーツはファッションとしても人気が高いという。服もまた、食品の包装紙や外箱のように体を包み、体と外界を分ける境界面となることを示している。

■畳や芝生のスケボー、ポンチョにもなる迷彩柄の自転車のカバーなど、津村耕佑はそれぞれの機能をもつ普遍的な道具に、別の機能やイメージを組み合わせている。病院の診察室の前に掛かっているような白いカーテンにはシャツの襟や袖がついている。あちらとこちらの空間を区切るカーテンに、私的な空間と公の空間を分ける服の性質が重ねられたインスタレーションだ。

■服は身体と外の環境を分ける境界面であると同時に、つなぐ装置でもある。最初は斬新に感じる流行も、普及するにつれてしだいに目立たないものとなり、周囲に違和感なく受け入れらていく。だから、目立ちたいのではなく目立ちたくない人ほどファッションに敏感であることが多いかも知れない。その方が環境に溶け込みやすいのだ。「かくれんぼ」というタイトルのこの展覧会では、そんな自分自身の服に対する潜在的な思いを見つめ直すことができる。


ファッションの意識改革 かくれんぼ
2003年4月8日(火)~6月1日(日)
アート&デザインフォーラム
京都市左京区松ヶ崎御所海道町京都工芸繊維大学
(地下鉄烏丸線「松ヶ崎」下車、徒歩5分)
10:00~17:00(入館は16:30まで)
月休(但し5/5開館、5/6休館) 
観覧料無料
TEL.075-724-7924

words:酒井千穂

art179_04_2月岡彩 「置いたらマンホールバッグ」


art179_04_3荒川眞一郎 「canvas,cape」
絵画のようにキャンバスとつながっている服。


art179_04_4アネッテ・メイヤー
「BODY WRAPPInc.NY」スーツ
京都服飾文化研究財団所蔵
お菓子の包装紙で作られたアネッテ・メイヤーのスーツ。


art179_04_5津村耕佑 「skateboard cover furniture(washiki)poster 」
畳のスケボー。展示台に貼られているポスターには草履と袴姿が。。


art179_04_6津村耕佑 「shirt curtain」
診察室入口にあるようなカーテンは襟とボタンつき。


art179_04_7月岡彩 「新カクレンボ大作戦〈瞬間自動販売機スカート〉」
エントランスホール展示。


2003-04-08 at 04:33 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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コメント

はじめまして。
荒川眞一郎さんのキャンバスの作品が大好きです♪
いま1点購入しようと交渉しています。
思いがけず、このブログで見たことのない作品に出会えて嬉しかったです☆

投稿情報: ち○き嬢 | 2005/11/14 5:39:08