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2003/04/11
ピンナリー・サンピタック展
「温かな身体」
会場風景
壁左)「女性の身体」1998-99年、木炭・パステル・紙、壁右)「器」2000年、蝋・木炭・紙、
床)「noon-nom」2001-02年、オーガンジー・化学繊維
■タイのピンナリー・サンピタックが大阪で個展を開いている。いまは帰国しタイ在住だが、筑波大学に学んだことのある彼女は日本語も達者に操る。彼女はこの10年来「女性の身体」をテーマの軸にして作品を展開してきた。関西での発表はこれが初めてとなる。
■果実やストゥーパ(仏塔)、器、小舟といったイメージに姿を変えてゆきながら、彼女の作品には乳房の形が頻繁に登場する。こうしたタイという国のもつ宗教や地域的な背景を強く感じるアイコンが多いのも作品の特徴である。
■会場中央に据えられた白、ピンク、グレイ、黒の乳房の形の「noon-nom」は、上に座ったり、寝転んだりと直接かかわってゆくことのできる作品だ。東京でのアート・フェアNICAF(2003/4/4~7)の会場でも、このクッション状の作品は大人気だったという。オーガンジーのつるつるした触感と柔らかな弾力感が皆に愛された理由だろう。注意深く見ると先が尖っていたり、丸みを帯びていたり各々に形が異なることに気づく。
■「乳房の葉」は桑の葉の形を模したものというが、古くからシルク織が盛んなタイでは養蚕はおそらく女性の仕事だったのだろう。乳房をかたどった作品群を通して女性の位置や、女性性について改めて考えるきっかけとなる。「noon-nom」に身体をあずけると、何とも表現しようのない安心感や幸福感に満たされる。そうした感覚が必ずしも女性に求められるすべてではないにしても、女は偉大なのである。
ピンナリー・サンピタック展
metamorphosis
2003年4月11日(金)~5月2日(金)
アート・遊
大阪市中央区北浜3-2-24 北沢ビル1F
(地下鉄御堂筋線・京阪「淀屋橋」徒歩2分)
11:00-19:00 (土曜12:00-17:00)
日・祝休
TEL.06-6201-0221
words:原久子
「noon-nom」2001-02年/この女の子は長い間、作品のなかでひっくり返ったりして遊んでいたという(撮影:アート遊、東京でのNICAF会場にて)
「乳房の葉」2000-01年、マグネシウム鋳造
ずっしりとした重みの「乳房の葉」
壁中央)「器」2000年、アクリル・パステル・紙、壁右―上段)「器と捧げもの」2001年、壁右―下段)「器と捧げもの」2000年
乳房のかたちの蝋燭にはアロマ油が含まれていて会場に香りがほのかに漂う
2003-04-11 at 04:27 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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