2003/02/10
高橋匡太展
「鯉といっしょに天にも昇る」
エントランス部分に大きく投影された鯉の姿
■映像や照明など光と影を巧みに操るアーティスト高橋匡太。彼は昨年9月から約3ヶ月、大阪府とヨーロッパ4ヶ国との文化交流事業のひとつであるART-EXに参加し、フランスで滞在制作と作品発表を行なった。今回はその成果を報告する個展だ。
■ エントランスでまず床に泳ぐ鯉に迎えられる。もちろん、床の上を鯉が泳ぐわけがなく、体長160cmくらいに大きく投影された映像だ。壁への反射を見ていると、鯉が壁に飲み込まれていくようにもとれる。
■ 会場内には、床から天井に曲線を描いて張った全長14m程のスクリーンがある。鯉の大群が大きな口を開け、飛び出して来んばかりの勢いで跳ねている映像を画面いっぱいに投影している。沖縄東南植物楽園の池に大量に繁殖した鯉は人影を見つけると餌がもらえるものと反応して、いっせいに口を開いて群がってくるのだそうだ。
■ 巨大な鯉に襲われて食われそうな猟奇的な恐怖感と、波にもまれているような危ない快感が混然としてやってくる。赤、黒、白、金色の鯉の柄、水しぶきが、デジタル画像を大きく投影しているために部分的にモザイク模様としてあらわれ視覚的な幻覚をさらに増幅させる。
■ 画面の外に向かって飛び出してきそうな鯉の様子をずっと見ていると、次第に映像に酔ってくる。映像をループ再生しており、10分に1度くらいの間隔で、ジェットエンジンが轟音を放つ場面に出くわす。撮影中に偶然にも収録された植物楽園に近接する嘉手納基地を発着する飛行機の音だ。身体を振動させるこの音に包まれた時、幻覚はクライマックスに達する。健全にトリップしてみたい方はぜひこの作品をお試しあれ。
ART-EX 帰国報告展
高橋匡太
2003年2月10日(月)~15日(土)
大阪府立現代美術センター展示室A
大阪市中央区大手前3-1-43大阪府新別館南館
(地下鉄谷町線・中央線「谷町4丁目」駅下車、1-A出口)
10:00~18:00(14日~17:30,15日~13:00)
入場無料
TEL.06-4790-8520
*[Live event of live image and music]
2月14日 19:00~20:00
ゲスト:山中透、桜井みどり他
2月15日 14:00~15:00
ゲスト:山中透、桜井みどり他
words:原久子
餌を求めて口を開けてむらがる大量の鯉
口を開けて跳ね続ける鯉
高橋匡太に映像の前に立ってもらった
初日に催された映像のライヴ・パフォーマンスの様子
会場風景:映像ライヴを床に寝ころがって観るオーディエンス
2003-02-10 at 04:53 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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