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2003/01/10

my room somehow somewhere

「ようこそ」


art172_03_1イーリー・キシモトとgrafのコラボレーションによる壁紙、家具


■美術家、写真家、デザイナー、小説家など、会場にぎっしりといろんな人の作品が賑々しくある。雑然としていた展示のようにもみえるが、親しみが作品にわいてくるのは、この展覧会のキュレイターの澤文也と出品者たちとの関係がにじみ出てくる部分を感じるからだろうか。

■ある時は編集者として、またある時はコーディネーターとして様々な企画にかかわる澤。最近出たよしもとばななの小説『アルゼンチンババア』の英文翻訳も彼の仕事だ。そういえば私がこの人をはじめて見かけたのは台北の美術館だった。世界中さまざまな国を旅しながら仕事をしている。どこで会っても不思議じゃない。でも異邦人というより、すっとどんな土地の空気のなかに馴染んでしまうような人のようだ。

■露天風呂に肩まで浸かった青年を写したメッテ・トロンヴォールの写真が会場の真正面にある。椅子がその前にあって、そこに座ると青年と向き合って座ることになる。おおらかな青年の表情を見ているとなんだか落ち着く。

■イーリー・キシモトとgrafのコラボレーションで出来た壁紙や家具は、フラッシュ柄。目眩を起こしそうな連続するパターン。壁紙に目をまわしたわけではないのだけれど、奈良美智が描いた男の子のまんまるの白目をむいている。

■ポール・デイヴィスの100枚のドローイングは、ナンバリングをしたクリアファイルに入ったままで、梅佳代の写真もランダムに、壁にさくさく留められている。見た目にはさもありそうな地図が精巧にコンピュータ処理で作られている的場智美の《MAP OF UTOPIA, The Japanese British Islands》。名古屋が北に押し上げられてロンドンが名古屋の南にあったり、徳島(四国)と大阪が陸続きになってそれらの間にサマーセットがあるという奇想天外な地図だ。

■大竹伸朗の作品は、「ニューシャネル」とカタカナで書いた扉、電飾看板「スナック・モンシェリー」、ちょっと無気味なキリン。それらはけっしてまとめて大竹コーナーとして展示されているわけではない。主張の強い作品なのに、この展覧会のなかにあると隣接する他の作家のものと互いに協調しあっている。

■澤文也とその友人である人のいろんな才能の宝箱のような空間は、澤の大切なMY ROOMでもあり、それぞれの作家たちのMY ROOMでもある。居ながらにして世界旅行まで可能な部屋に「ようこそ」と招き入れられたような感じがまったりとして心地いい。

CURATOR'S PARADISE 2 : Fumiya Sawa
ボクノ部屋ナゼカドコカニ
my room somehow somewhere
2003年1月10日(金)-2月2日(日)
gm /graf
大阪市北区中之島4丁目
12:00-20:00
1/20(月)休
TEL.06-6459-2082

●大竹伸朗氏を迎えてのトークイベント
「オレにも見せろ、ピーター・ラビット」
1月18日 (土) 19:00~
\2,000 (1 drink)

●my room chat「讃岐うどんと鯖鮨」
1月25日(土) 19:00~
澤文也・豊嶋秀樹(graf)が出品作家奈良美智と電話チャット&みんなで試食会 
\1,000

※参加作家:
イーリー・キシモト、梅佳代、大竹伸朗、ジョナサン・バーンブルック、奈良美智、細木由範、ポール・デイヴィス、的場智美、メッテ・トロンヴォール、 よしもとばなな、米田知子、graf、HT、その他はがきで多数参加。

words:原久子

art172_03_2ポール・デイヴィスによるドローイング


art172_03_3デスクの上や前の壁には、大竹伸朗の秘蔵のワールドミュージック系まで網羅したリズムボックスなど、おもちゃ箱をひっくりかえしたような楽しさがある


art172_03_4左の写真(2点)米田知子


art172_03_5的場智美《MAP OF UTOPIA, The Japanese British Islands》


art172_03_6中央:メッテ・トロンヴォール作品


art172_03_7神棚のようなものの中に奈良美智のオブジェ、その下にはH.Tのペインティング


art172_03_8奈良美智、高谷史郎(ダムタイプ)、束芋他から澤に届いたポストカード

2003-01-10 at 02:09 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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