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2003/01/11

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「風景の可能性」


art172_04_1星野武彦「airport」キャンバスにアクリル


■コンピュータを使っていると、ときどき警告音が鳴ったり、「error(エラー)」という表示に出くわすことがある。あるいは野球の用語としてもよく耳にする「エラー」。「誤り」「失策」などという和訳にするより、やっぱり「エラー」は「エラー」としたい。この展覧会名は「error(エラー)」

■ この展覧会を通して知り合ったという4人。出品者のひとり佐藤克久がほかの3人のアーティストたちに誘いをかけた。展覧会によせたメッセージに佐藤が「決して新しい試みとはいえない、むしろ使い古されたことであろう当たり前のことにまだまだ、見落としている可能性があるのでは、と考えささやかなグループ展をします。見落としている可能性があるとは、変化する素地があり変化を求める現在があるということ」と書いている。

■ 山並を箱に入れ、風景の断面を切り出したようなペインティング。木立の連なりが山並をつくっているだろうに、木立のなかに切り出した山並が浮かんでいたり。こんな星野武彦の作品をエラーというのか。村林基はフラットなサッカーのピッチを、線の交差点の角度をズラしてキャンバスの上に描くなどして、あり得ない空間を作り出す。

■ ただの円形の鏡かと思われる展示物。白い縁のある鏡はよく観ると鏡だけがクルクルと回転している。映っている景色はもちろん回ってはいない。放置されたようにみえるペットボトルの作品は、異なるメーカーのミネラルウォーターのペットボトルが壁の上と下にあって、空の下のボトルに上のボトルから水が落ちてくるというもの。メーカーが違うし、水は採れる場所で成分や味が異なる。でも無色透明で視覚的には水にはかわりはない。「それがどうしたの」と言ってしまえば終わってしまうようなことをわざわざやってしまうのが芸術としての行為なのか(?)。こんな森田浩章の人を食ったような作品は深刻に考え過ぎずに笑ってしまうのがいいかもしれない。

■ そして、首謀者の佐藤は「KISS ME - MEMORY」なんていうカエルのオブジェと王冠を戴いた物体を撮った写真、両方を見ていると童話を思い出す。どんな話の筋だったのか、思い出せないのだが、カエルの王様のビジュアルが頭から離れない。間違い探しを求められているような気になってくる作品たち。一生懸命に作品の意図を見つけだそうと、真面目に見ている自分が何だか可笑しくなってきたりする。


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2003年1月11日(土)~2月1日(土)
GALLERY TWINSPACE大阪市北区天神4-1-2中之島ガーデンハイツ1階
13:00~21:00(土・祝~18:00)
日曜休
Tel.06-6352-6903

※error東京展は
switch point(東京都国分寺市本町)にて
2003年3月13日~25日

words:原久子

art172_04_2星野武彦「cube」キャンバスにアクリル


art172_04_3村林基「pitch」キャンバスに油彩


art172_04_4森田浩章作品/ 壁の上にあるのはevianのボトル、下にはvitteleのボトル


art172_04_5森田浩章作品/上にあるボトルから下のボトルへと水が一滴ずつ落ちる


art172_04_6佐藤克久「KISS ME MEMORY」 
上=type C print,下=オブジェ
左壁)星野武彦「gems」


art172_04_7佐藤克久「KISS ME MEMORY」(部分)
上の写真作品は金色の王冠を頭に戴いたような構図

2003-01-11 at 02:28 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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