2003/01/15
ツァイ ジン展
「湧きたつパッション」
会場風景
■ バナナの葉と茎を描き続ける中国出身のアーティスト蔡錦(Cai Jin)。しかし、バナナであることは、文章に書かれているのを読んではじめてわかった。変化に富んだ赤を基調とする情熱的な色彩がキャンヴァスを覆う。
■ 枯れ萎れたバナナの様と、その画面に満ちたエネルギーが、矛盾をはらみながら同時に成立している。赤い色のグラデーションは近づくと驚くほど沢山の色の集積であることに気づく。その集積が形作る画面は、まるで身体の臓器の内側を開いてみたような生々しさを発している。
■ ほとんど地塗りを施さずに油絵具をのせてゆくために独特のにじみが薄い塗りの部分には見られる。花柄が織り込まれた赤い絹布に描かれた作品は、絵具をのせていない余白にある絹の光沢と絵具のにじみが、猥雑さを感じさせる。
■ 中国人にとって赤は特別な色でもあるという。私たちが感じる情熱や熱い血潮、といった情感に訴えるものだけでなく、それは政治の色でもある。作品が蔡錦の内面を映しとったものだとすれば、彼女のなかには激しいものから、静けさを伝えるものまでさまざまな音色が響いているということになろうか。
"Sound in Red" Cai Jin
蔡 錦 (ツァイ ジン)
2003年1月15日(水)~3月14日(土)
fujikawa gallery / next
大阪市中央区瓦町1-7-3
(地下鉄堺筋本町駅、地下鉄・京阪電車北浜駅より徒歩5分)
11:00~19:00
土日祝日休廊
TEL.06-6231-4536
words:原久子
「Banana No.48」(1994)
200×190cm
「Banana No.48」(部分)
「Banana(Shoes)」(1998)
「Banana No.185」(2002)
147×147cm
「Banana No.178」「Banana No.179」
「Banana No.180」「Banana No.181」
いずれも(2002) 46×46cm
鉛筆によるドゥローイング
2003-01-15 at 12:18 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d014e88e74902970d
Listed below are links to weblogs that reference ツァイ ジン展: