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2002/11/08
ARTSCOPE-ワタシの内側/アナタの外側
「アートを観察することで何かが見えてくる」
三品幸彦「Hybrid Cafe for ARTSCOPE」
■「すぎなみの表現者たち」と題した杉並在住作家による区制施行70周年記念のアート展。6作家によるグループショウが気になり、初日に訪れた。杉並会館という会場に入ると、そこが結婚式場として使用されていることがわかった。展示は3階。一種独特な雰囲気の中、どんな展示がされているのか興味津々だった。
■フロアに着くと、三品幸彦さんの床に広がる立体がまず正面に立ちはだかる。中央上部から下の入り組んだパイプが見える。こちら上がって覗き込んでみよう。マンホールもあり、足下に広がる世界を楽しめる。展示室に向かう。まず人形が床に無造作にころがっている川上和歌子さんの部屋。今まで人型オブジェをつくってきたが、今度は作家自身をモチーフにしたという。おかっぱ頭が川上さんそっくり。1本ずつ眉間に差した花の意図は?
■井上リサさんは一貫して医学的とアートを結び付けて表現してきた作家。鑑賞者の心拍数を心電図モニターに表示させる作品など3点を出品。ガラスケースには外科器具の数々が並べられていたが、こんな荒手な道具が実際に使用されているのかとまじまじと見てしまった。映像作品を出品している西村智弘さんは美術評論家としても活動している。彼の作品は初めて拝見したが、連続写真のコラージュを用いた不思議な映像だった。青を共通項に自在に空間を遊んでいて面白かった。
■4階は鈴木淳子さんと沖啓介さんが同室で発表。かもし出す空気が似ているのか、一瞬二人の作品の境界が見えなかった。共に脳をテーマにした作品を出品していて、鈴木さんのライトボックスと沖さんのインスタレーションは違和感なく展示室をシェアしていた。外には両者がコラボレートしたCG作品も設置してある。
■サブタイトル「ワタシの内側/アナタの外側」が示すように、同展はアートを観察(=SCOPE)して自己と他者を内外から見つめようというコンセプトがある。多様な6作家の作品を手がかりに、ふだん見えていないもの、見ようとしていないものを気付かせてくれるだろう。白いキューブとは異なる空間で、私はしばし心踊る体験ができた。また入場時に、出品作家による「すぎなみとわたし」というエッセイ冊子がもらえるのだが、アートの発信に積極的な杉並区と、在住アーティストたちのつながりに思いを巡らせたひとときだった。
「ARTSCOPE-ワタシの内側/アナタの外側」
2002年11月8日(金)~11月24日(日)
杉並区立杉並会館ギャラリー
東京都杉並区上荻3-29-5 杉並会館3・4階
(JR「荻窪」、地下鉄丸の内線「荻窪」北口より徒歩15分または北口より0番1番乗り場関東バス「荻窪警察署前」下車徒歩1分)
10:00~19:00(月休、土日は~17:00)
入場料300円(高校生以下無料)
問合せ:杉並区文化・交流協会
TEL.03-5311-7035
words:斎藤博美
川上和歌子さんの人形インスタレーション
井上リサさんの外科器具一式
西村智弘さんは映像「青い手すりのある石段」を発表
鈴木淳子作品。中央は
「self-/brain-interpretation/decision」
沖啓介さんのインスタレーション
2002-11-08 at 12:47 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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