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2002/10/26

KOBE ART ANNUAL 2002

「重なり合う個性」


art167_03_1馬場晋作/作品展示風景


■7回目となった神戸アートアニュアル。今年も現役大学生6名を含む9名の若きアーティストたちがそれぞれの新作を発表している。展覧会のサブタイトル「ミルフィーユ」は、パイでつくった菓子からとった。何層にも重なるパイ生地と、イメージの連鎖が一つの作品を作り出すような出品者たちの作品をかぶせた。

■馬場が描いたのはピッチコック映画の1シーンをシリコーン樹脂に油彩で描いていったもの。江刺の絵画のモティーフは天地が縦にも横にもさまざまな方向に描かれている。上瀬の作品は『Object』というタイトルのシリーズ。1階展示室の床に置いた『Object(対話のための)』には「迂回する」と辺にそってかかれている。ほかの作品に近づくためには、この木製箱の形態をもつこの作品を避けて迂回しなくてはならない。

■末森は日常生活の周辺にあるものの断片を同じ大きさの10枚のフォトグラフィックペーパーにプリントしている。富倉は正方形の綿布の支持体に真上から俯瞰して見た動物など、いろいろな角度から見たさまざまなものを配置して描いていっている。西武は絵巻物のようにドローイングを描いている。彼はトイレの中にまでエンドレスに続くイメージを重ねてゆく。

■白黒のスチール写真の上に手描きアニメーションを展開し、上映しているのは村井。稲垣の展示ブースではデコレーションした洋菓子とドライフラワーが甘い香りを発するテーブルがあり、正面に映像がある。白い服の男女がキスしている。口紅をつけては、男性がその口紅を食べてゆく。口紅1本分使いきるまでキスは続く。絵画を専攻しているが参加型のサウンドインスタレーション作品を出していたのは黒川。それぞれイメージの断片の重なりが集積したものを作品としているが、それぞれの個性がさらに重なり合う空間が広がっていた。

KOBE ART ANNUAL 2002
ミルフィーユ
2002年10月26日~11月17日
神戸アートビレッジセンター
神戸市兵庫区新開地5-3-14
10:00~19:00 火休
TEL.078-512-5353

words:原久子

art167_03_2江刺作恵/『絵空拍子』展示風景


art167_03_3上瀬奈緒子/ 手前)『Object(対話のための)』 壁左から)『Object(彼女の双子の姉と会う)』、『Object(鏡の彼の中に)』、『Object(裏界の彼と)』


art167_03_4末森愛/『日々』10点のうち3点


art167_03_5富倉崇嗣/(左から)『車窓』、『サーカス』


art167_03_6西武アキラ/「なぜ、そんなこと沼田に言い切れるのだろうか?」(部分)


art167_03_7村井美々/『白昼夢』(アニメーションの1コマ)


art167_03_8稲垣智子/『最後のデザート』


art167_03_9黒川淳史/『情報の球根』

2002-10-26 at 12:27 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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