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2002/10/01
思想の図書館
「知性アートの宝庫」
杉並区役所には全作家の作品が展示されている
■地下鉄・丸の内線「東高円寺」から「南阿佐ヶ谷」を結ぶ青梅街道を「美術館ストリート」と名づけて地域のギャラリー等がタッグを組んでアート展を共催するプロジェクトが美術館ストリート計画。前2回はBOXアート展という同サイズの箱の中で美術家が作品を制作するというものだったが、今年は「思想の図書館」と題した企画展を開催していた。
■思想の図書館は5つの図書館(摂理・生命誌・時空・観想・宇宙誌の図書館)で構成されている。昨年、Gallery Para GLOBEで開催された「仮説芸術-abduction」展が発端となっているそうで、哲学、科学、教育、経済、社会など様々なジャンルからアートへアプローチを試みている。3会場の5つのスペースで12作家がそれぞれグループを組んで作品を発表している。
■図書館といえば広範な情報の宝庫。ネットのおかげでわざわざ図書館に行かなくてもことが足りるようになってはきたが、整然と並んだ書物や索引カードの中から何かを探し出すアナログな作業は本来探していないモノと出会う可能性もある。
■この展覧会もそんな体験が重なる。例えば「宇宙誌の図書館」では松澤宥の作品をはじめ宇宙の匂いを何かしらかぎとってしまいがちだが、図書館から一度離れて3作家のグループショーと思えば宇宙以外の思想とも結びつけられる。時に「括り」は一定の方向にイマジネーションをかきたてるけれど、作品本来が持つ力をオブラートにくるんでしまうこともある。
■ここに並んでいる作品はエモーションとは対極にあるものばかりだ。それゆえ知性の代名詞「図書館」と融和し、見事なまでにスキがない。それゆえ図書館嫌いの人にはちょっと難儀な気もした。
■区役所2Fギャラリーでは小品と出品作家のコンセプトが展示されている。それぞれ本の体裁をとっており個性が出ていて面白い。この記事のアップ日が展覧会最終日であり事後報告になってしまうのが残念だ。
「思想の図書館」
2002年10月1日(火)~10月18日(金)
杉並区役所2Fギャラリー
東京都杉並区阿佐谷南1-15-1
(営団地下鉄「南阿佐ヶ谷」出口すぐ)
9:00~17:00(土日休、最終日は~15:00)
入場無料
TEL.03-3312-2111
「摂理の図書館」「生命誌の図書館」
2002年10月1日(火)~10月7日(月)
SK画廊
東京都杉並区梅里1-7-7新高円寺ビル2F
(営団地下鉄「新高円寺」出口すぐ)
12:00~19:00
入場無料
TEL.03-3311-2113
「時空の図書館」
2002年10月1日(火)~10月9日(水)
香染美術画廊
東京都杉並区阿佐谷南1-10-1松永ビル1F
(営団地下鉄「新高円寺」より徒歩5分)
11:00~19:00
入場無料
TEL.03-3314-9106
「観想の図書館」「宇宙誌の図書館」
2002年10月1日(火)~10月12日(土)
Gallery Para GLOBE
東京都杉並区和田3-54-5第10田中ビルB1F
(営団地下鉄「東高円寺」より徒歩5分)
13:00~19:00
入場無料
TEL.03-3315-6950
問合せ
BOXアート実行委員会
TEL.03-3315-6950
words:斎藤博美
「生命誌の図書館」(SK画廊)作品は丸山芳子
「摂理の図書館」(SK画廊)作品は西本剛己
「時空の図書館」(香染美術画廊)作品は岡崎康弘
「時空の図書館」(香染美術画廊)作品は鍋田康男
「宇宙誌の図書館」(Gallery Para GLOBE)作品は伊丹裕
「観想の図書館」風景(Gallery Para GLOBE)
2002-10-01 at 12:43 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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