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2002/08/20

HOSOMI TO CONTEMPORARY 000‐READYSTARTED‐

「裏側からみた美術館?」


art162_03_1岡崎周辺の文化施設スタッフ有志の集合写真


■細見美術館はキューブ型でココア色のシックな外観で、美術館や図書館、画廊が並ぶ京都の文教エリア・岡崎でも、ひときわ目を引くプライベートミュージアムだ。開館からこれまでの5年は日本美術を中心の展覧会を行なっており、現在も『珠玉の日本美術』展が展示室では開かれている。この美術館の通路やオープンスペースでちょっとユニークな試みがなされている。

■入口に会場地図が配置され、スタンプラリー形式で観てゆく企画だとまずわかる。受付に岡本光博の作品「Rabbits in the Counter」があると記されているので、受付ブースを覗き込んでみた。姿勢よく座っている受付嬢の鼻にフェイクファーで作ったピンクのウサギの鼻がついているではないか。カメラを構えて大笑いしているこちらを尻目に、平然としている。茶道具などのコレクターであった故細見良の遺品を中心に、琳派や伊藤若沖など一般にも馴染みの深い日本美術を収蔵しているスノッブな雰囲気の美術館の受付にいきなりウサギがいたら、さて、あなたならどう思う?

■そして、入口のかたわらには、この岡崎周辺の文化施設で働く人々が整列して撮った集合写真を展示。学芸員から守衛さんまで、文化施設を裏側で支える影の立て役者たちの正体(?)がその所属等とともに公表されている。これは矢木奏の「F(エフ)ミュージアム京都(FMK)」という作品。普段は閉じられたままの通用口が開け放たれ、そこには少女が微笑みながら渚にたたずんでいる。これは、渡部裕二のドゥローイングと映像を組み合わせた映像インスタレーション「Rin」。

■ミュージアムショップ横に、今回の展覧会をコーディネートした中山和也を「細見美術館副館長」に9月1日までの会期中命ずるという公印を押した文書を掲示。さらに、副館長の日程表がある。期間限定とはいうものの本物の名刺まで持った中山は、盆栽に水をあげたり、取材の応対をしたりと、事実はどうであれ、とても暇そうにも見える。美術館内に出没しては油を売る中山のパフォーマンスとも素ともつかない。

■展示ケースのなかの逸品を襟を正して観ている観客は、この企画にどう反応するのだろうか。洒落のわかる美術館だと感心するのか、あるいは、ガラス越しに堂々と展示されている美術品までフェイクにみえてくるのか。これに味をしめて現代美術に触れることにも病み付きになってもらいたいものだ。

細見美術館 現代美術イベント
第0弾"HOSOMI TO CONTEMPORARY 000
‐READYSTARTED‐"
細見美術館オープンスペース
京都市左京区岡崎円勝寺町6-3
1期 2002年8月20日(火)~25日(日)
(出品者:岡本光博、矢木奏、渡部裕二、中山和也)
2期 2002年8月27日(火)~9月1日(日)
(出品者:扇千花、岡田一郎、gansomaeda、清水克久)
10:00~18:00
入場無料
TEL.075-752-5555

words:原久子

art162_03_2各出品作の横にスタンプ


art162_03_3受付にも作品あり


art162_03_4鼻に注目


art162_03_5渡部裕二「Rin」


art162_03_6この展覧会のコーディネーターで9月1日まで副館長を勤める中山和也


art162_03_7展示室


2002-08-20 at 05:12 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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