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2002/08/01
中里和人展
「ジオラマの異境」
外観の一部。かつてはのこぎり屋根の工場が林立していたそうだが、一棟だけが残されている
■日本各地の小屋を撮っている写真家の中里和人の展覧会が、青梅の旧織物工場を使って開かれている。ちなみに、青梅駅からの道のりには、古い日活の青春映画や「シェーン」といった映画の看板が至るところにディスプレイされていた。
■かつて青梅は、夜具地(布団皮)の生産を中心に「織物のまち」だったのだそうだ。一回の機械をガチャンとすれば一万円儲かる「ガチャマン景気」といわれた昭和30年代をピークに、沖縄返還の交換条件であった繊維貿易の自由化により衰退の一途をたどったという。街は、その頃の名残りを残し、この工場の建物もアトリエなどに再利用していきたいそうだ。「青梅幻視画(ジオラマ)館」という名の本展はそのオープン記念展。
■キリコの絵の中に出てきそうな街角を捉えた「キリコの街」というシリーズ、農機具小屋や港小屋など、さまざまな表情を見せる「小屋の肖像」のシリーズから展示されている。ワークショップで実際に建てられた小屋がいくつかあり、そのなかに入って作品を見ることもできる。また、工場倉庫や周辺から集めた重機をインスタレーションし、そのなかにもカラーコピーを展示している。
■小屋は、外見こそみすぼらしいが、解体して移動してまた建てられるフレキシブルさがある。また、人の生活や産業(営み)の匂いがありながら、不在感も感じられる。こうして見ると、人格みたいなそれぞれ“小屋格″のようなものがあり、どうしようもなく日本的な風景という気がする。記憶や時間が交錯した青梅の街の中に、この架空の町があり、どこまでがジオラマなんだろう、とふっと思う。
■都心からちょっと遠いけれど、すぐそばの「dinning & gallery繭蔵」というダイニングの料理もヘルシーで美味でもあり、足を延ばしてみてはいかがだろうか。「東京郊外」はホンマタカシのそれだけではないんだなあと(あたりまえですが)思います。
中里和人展「青梅幻視画館」
2002年8月1日(木)〜31日(土)
SAKURA FACTORY
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-1-201
(JR青梅線青梅駅or東青梅駅より徒歩8分)
11:00-19:00 無休
一般500円 大高300円 中小100円
TEL.0428-20-4555/21-7291
※8/23・24 10:00〜16:00ワークショップ「青梅の小屋を建てる」(参加費1日1000円)
8/24 18:30〜アコースティックデュオKuriライブ(2000円)
8/26 18:30〜中野純の「月待ちナイトウォーク in 青梅」(1000円)
words:白坂ゆり
小屋のなかにも展示。のこぎり屋根の天井から外光が入る
展示風景
「小屋の肖像」より。青森県平館村 農機具小屋 1999年5月
「小屋の肖像」より。柵の奥は、ワークショップの空間で、小屋をつくる廃材や道具が置いてある
見えづらいが、赤と緑のコピーが作品
2002-08-01 at 05:02 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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コメント
はじめまして。
写真家中里和人氏のウェブサイトを管理しております、
サーバコミュニケーションズの工藤と申します。
このたび、氏のオフィシャルサイトがリニューアルいたしました。
http://www.nakazato.info
以前、他社様のウェブサイト内に開設しておりましたが、この度、独自ドメインを取得してリニューアルいたしましたので、お知らせいたします。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿情報: 工藤雅夫 | 2006/05/08 13:03:32