« 北原照久 アートコレクション展 | メイン | 中里和人展 »
2002/07/30
高橋辰夫展
「普通のこと/光」
映像「決定2」より
「The World is Waiting for」(右のバルーンのインスタレーション)
■会場には、映像と、そこから出力してアクリル加工した写真、その場面から描き起こした絵画などがインスタレーションされている。会場にある椅子や扇風機も、なにとはなしに、それらと風景をなしているように見える。
■映像は、演出された場面と、ドキュメンタリー的な場面と、イメージや象徴としてさしこまれた場面とが組み合わされているようだ。現実と、映像に封じ込められたフィクションとが交差しているように見える。登場人物は、12歳と10歳の姉妹。少女期特有のまぶしさ。男性は、必ず“男の子"の時期を経て、男になる気がするが、女性は生まれてまもなく “女"になる。それは、男性側のイメージが先なのかもしれないが、同性から客観視してもそう思う。地球儀やサッカーボールのバルーンの作品は「地球は女で回ってる」みたいだった。
■少女が、うまく書けない手紙を書いて、ポストに投函する。その後、航空便で本が届く一連のシーン。あるいは、お互いに質問しながら映像を撮りあうシーンは、姉から見れば、ちょっと前の私と、妹から見ればちょっと先の私が、鏡のような関係にある。わたしからわたしへ。航空便は、時空をあらわしているのかもしれない。光の早さのごとく、成長していく彼女達。幸福にもあるいは残酷にも、忘れ去られていく時間。「いま泣いたと思ったら、もう笑った」みたいに。
■鏡に向かい口紅をつけるシ—ン、プールのシーンなど、映画の定番ともいえる場面が、はさまれる。モノクロからカラーへ、またモノクロへ。現場音の入れ方なども、時間を意識させる。
■絵画も写真も映像も、扱うと「光」を意識せざるを得ないというか、結局そこに至るのだろう。あるいは、飛行機の映像から連想してしまう昨年の9.11にもあった光。そして、どんな場所にでも普通にある光。関係ないけど、宇多田ヒカルの「光」のプロモーションビデオが、生活風景(食器洗いにリアリティはなかったが)だったのも、それかなと納得したりして。
高橋辰夫展「光とわたし」
2002年7月30日(火)〜9月28日(土)
OFF SITE
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-23-7
(JR代々木駅より徒歩5分)
火〜金 18:00-22:00
土 15:00〜22:00
日・月休
TEL.03-3341-5557
words:白坂ゆり
映像「光について」より
映像「わたしについて」より
絵画(上から)「願いは叶わない-その2-」「秘密は漏らされる-その2-」「願いは叶わない-その1-」「秘密は漏らされる-その2-」(パネルにアクリル絵具)
絵画「風景」(ジャケット版 パネルにアクリル絵具、塗料)
2002-07-30 at 07:28 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d015432c74840970c
Listed below are links to weblogs that reference 高橋辰夫展:
コメント
アート遊覧復活!?で、このページも戻って嬉しい!
ちょっとというか大分前ですが、昨日のことのよう・・(作家)
投稿情報: tattaka | 2005/01/26 19:02:27
なんか懐かしいような、最近のことのような。今回アーカイを整理しながら、当時は実は半信半疑で書いてたこともけっこう合ってたな〜とか、(違っててもそのときはそう思ってたんで、恥をしのんで簡単には消さないけど)思う事もあり。ユーザーの方がアーカイブをすごく使ってくれていることに、書き続けてればいいことあるなあと勇気づけられます。
投稿情報: shirasaka | 2005/01/27 10:41:48