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2002/08/20

イメージの新様態 XII GARDEN

「未知の力に期待」


art162_04_1塩原れじ「ag」(ビデオ作品5分15秒)


■GARDENというテーマのもとに集められた3人の出品者は、京都市立芸術大学の鬼頭健吾(77年生れ)、東京藝術大学の塩原れじ(78年生れ)、田幡浩一(79年生れ)といういずれも現役学生。鬼頭は個展やグループ展への出展の経験もあるが、ほかの2名ははじめての学外での発表となる。

■大小いくつもの円形の鏡が床の2つの大きな回転盤に並び、ミラーボールのように光のしぶきを空間に拡散させたのは鬼頭の作品「シャブン」。鏡は壁にもランダムにとりつけられている。鏡のエッジが剥き出しのまま回転していて、光を反射させて美しいが、刃物が回転しているのと同じくらいに危険な代物だ。鬼頭はそのギリギリの境界を意図して制作したのだという。

■エデンの園を思い出させる果樹園を金髪の裸体の人物が彷徨い歩く。モニターに近付くと囁きのような音量で聴こえてくる少年の声。少年の声はそれまでの人生を淡々と語っている。塩原のビデオ作品のタイトル「ag」は両性具有を表わす単語の頭をとった。田幡のペインティングはGARDENというテーマを伝えられ、思い出した「鏡の国のアリス」の一節が基となった作品。横に長いキャンヴァスに瞬間を構成していったような描き方は、時間を行きつ戻りつできる面白さがある。

■鬼頭は鏡を用いた動く立体、塩原はビデオ作品、そして、田幡は絵画。「GARDEN」というテーマのもとにそれぞれが新作を作った。いずれも作品のなかに風や光の動きを感じる。メディアも発想の仕方も、制作へのアプローチ方法も全く異なる3人の作品。確かな答えを求めようとするのではなく、彼ら思考を追ってゆくと、観る者の思考にプチプチと小さな風穴が開けられてゆく。

■展覧会案内のカードに印刷された企画者長谷川祐子のテキストに「庭は、都市と自然の中間にあり、人の想像力が生み出した空間である。~(中略)~ GARDEN 、この展覧会では、3人のアーティストによって『生きられた場所』としての庭が語られる」とある。


イメージの新様態 XII GARDEN
2002年8月20日(火)~9月8日(日)
ギャラリーすずき
(京都市東山区三条蹴上 地下鉄東西線「蹴上」駅すぐ)
12:00~19:00(最終日~17:00) 月曜休廊
入場無料
Tel.075-751-0226

words:原久子

art162_04_2塩原れじ「ag」


art162_04_3鬼頭健吾「シャブン」 (鏡、モーターなど)


art162_04_4田幡浩一「She hurried off to the garden door」 (キャンヴァスに油彩)


art162_04_5会場風景

2002-08-20 at 05:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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