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2002/07/12
金魚伝来五百年記念展 金魚と杯洗
「金魚にまつわるエトセトラ」
外側の絵付けもいろいろ。中にはもちろん金魚の絵が。
右:京焼金彩杯洗(明治~大正時代)
左:九谷焼金襴手杯洗(明治~大正時代)
■昔、金魚を飼っていたからだと思うが、金魚がらみの展覧会が気になってしまう。2年前の今頃、「金魚プロジェクト」という現代アートと金魚をからめた面白い展覧会に出会ったが、それ以来「金魚伝来五百年記念展」とかかげ、恒例企画として展開している模様。去年は田名網敬一さんの金魚イラスト展を開催、今度は一転して渋い陶器が並んでいる。
■国内随一の金魚生産地といえば奈良県大和郡山市。年間8000万匹もの金魚を養殖しているそう。そこに箱本館「紺屋」という藍染め体験のできるユニークなスペースがある。その中の一室に金魚ミュージアムがあり、金魚の意匠をとりいれた、様々な美術工芸品を展示している。同展は、そのコレクションから杯洗20点と錦絵(写真展示)をピックアップしたものだ。
■「杯洗」は杯を洗うために使用する少々大きめの器物のこと。昔、形式ばった酒宴の席で、使用した杯をすすぐために使われた。現代ではそういった習慣が残っていないので骨董食器ということになる。ここには、江戸時代中期から明治、大正期にかけて制作された伊万里、九谷、瀬戸、京焼の器がディスプレイされている。金魚の意匠は真上、真横、斜めといろいろな角度から描かれており、どれも丸っこくて愛らしい。愛でる魚である金魚は、観賞を兼ねた器物の意匠にもしっくりくるのだろう。金魚のいる器に杯を入れてすすぐ、そんな行為も絵になりそうだ。
■そういえば、我が家にいた金魚は、今考えるとなかなかの上物だった。尾びれの美しい和蘭獅子頭が10数匹、大きな水槽で泳いでいたのだ。ある時、父が水槽を掃除している間、洗面器に入れてベランダに置いておいたら、近所の悪ガキが次から次へと金魚を掴んで隣の平屋の屋根に投げ散らしてしまった。ぴくぴくと跳ねる金魚たちをあわてて救済したものの、どこからかバイ菌が入ったのか、金魚は尾びれの長い立派なものから順に死んでいき、ついに水槽は空になったのだった。金魚を見ると、そんなことが自然と蘇り、今でも切なくなるのである。
金魚伝来五百年記念展 金魚と杯洗
2002年7月12日(金)~8月18日(日)
FORUM ART SHOP エキジビション・スペース
東京都千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラム1F
(JR・地下鉄「有楽町」駅より徒歩1分)
10:00~20:00
無休
入場無料
TEL 03-3286-6716
words:斎藤博美
展示会場
かなり派手でデザインチックな九谷焼色絵杯洗(明治~大正時代)
こちらは渋い器が2点。
右:伊万里焼染付杯洗(江戸時代末期)
左:伊万里焼青磁杯洗(江戸時代末期)
展示作品で唯一の漆作品、漆杯洗
(明治~大正時代)
入り口には水槽が置かれ金魚が遊泳している
2002-07-12 at 05:51 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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