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2002/07/13
とかち国際現代アート展デメーテル
「デメーテルへ行かなきゃ!」
記者会見/総合ディレクター芹沢高志からアーティスト紹介
■この夏、ちょっと足をのばしてぜひ出掛けてもらいたいのが[とかち国際現代アート展デメーテル]だ。帯広競馬場を舞台に4組6人の国内外のアーティストが、この場所にあわせて制作した作品を厩舎など競馬場敷地内全体を用いて展示している。
■十勝晴れの空の下、まる一日かかって見学。現地を歩きまわって作品を観るまで、43ヘクタールの競馬場の敷地で展覧会をするといわれてもそのスケール感をとらえられなかったが、百聞は一見に如かず。
■帯広競馬場で輓曳(ばんえい)競馬があるのは12月から2月の年間3ヶ月のみ、それ以外は一部が場外馬券売り場として利用されているだけ。馬とのかかわりでつくられた作品が、川俣正「不在の競馬場」とインゴ・ギュンター「時折、形をなす中小210 の断片」ほか2作品。川俣は馬たちがいない競馬場に全長1500mの木道を敷き、木馬を5頭(機)配置した。
■オノ・ヨーコの「Sky TV」は1966年に発表された作品の帯広バージョンだ。十勝の広くて青い空に触発されてつくられた。厩舎や小屋など9ケ所にカメラを設置し、それぞれにインスタレーションされている。81台のモニターのほとんどは市民から募ったもの。モニターの横に設けてある空のチップを全部集めて専用台紙に貼るとオノからのメッセージが出てくる。これは作品ではないが、屋外イベントならではのお楽しみだ。
■フィンランドから陸路で約3週間かけて帯広までクルマで旅をしてきたカサグランデ&リンターラはその旅の記録を「ダラス-カレワラ」という作品にした。立ち寄った24の街で出逢ったおばあさんの写真とそこで入手した斧。そのエリアで受信したラジオ放送がセットになって厩舎の各ブースで展示されている。移動することで文化や民族などが変化してゆく様子がわかる。
■全ての作品を紹介するのはかなり大変だし、言葉を借りて紹介するよりは、帯広で体験してもらいたい作品ばかりだ。いずれのアーティストたちもこの帯広でのデメーテル展のために各々が作品としてのプロジェクトに挑んでいる。一つの作品を観るにもけっこう時間がかかるが、広大な北海道では時間の流れも違う。ゆっくりと満喫したい空間が出来上がっていた。
とかち国際現代アート展デメーテル
参加アーティスト
オノ・ヨーコ、シネ・ノマド、カサグランデ&リンターラ、ウォルフガング・ヴィンター&ベルヘルト・ホルベルト、岩井成昭、蔡國強、インゴ・ギュンター、キム・スージャ、川俣正、nIALL(岸健太+田中陽明+中村政人)
2002年7月13日(土)~9月23日(月・祝)
帯広競馬場、JR帯広駅周辺など
北海道帯広市西14条南8丁目1 帯広競馬場内
9:00~18:00
(金土 ~21:00)
無休
一般1800(1500)円、高校1000(800)円、
中小600(500)円
()は前売り料金
TEL.0155-38-3802
words:原久子
川俣正「不在の競馬場」どうして動くのだろうかと木馬の構造をみる子供たち
7月13日岩見沢競馬場での第1レースで、川俣が名付け親となった輓馬のデメーテル号がデビュー。馬券を買ってTV観戦する川俣
ウォルフガング・ヴィンター&ベルヘルト・ホルベルト「帯広-ライトマシーン」は地元のよつ葉牛乳のプラスチック製キャリーケースを約2800個つないでつくったトンネル型の作品。憩いの場にもなっている。
オノ・ヨーコ「Sky TV」鳥の巣箱を模した木製の箱にモニターが入っていて空を映す
(撮影:坂口千秋)
オノ・ヨーコ「Sky TV」馬小屋のなかにもモニターがある(撮影:坂口千秋)
nIALL「 nIALL Project _帯広」さまざまな建材が使用された文字通りモデルルーム
(撮影:坂口千秋)
2002-07-13 at 05:56 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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