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2002/07/02
曽根裕展ーダブル・リバー島への旅
「美術館内に出現した楽園」
エントランス付近
■ループコースターのような巨大滑り台型作品《アミューズメント・ロマーノ》の周囲に約800鉢の観葉植物とともに、曽根の97年以降の作品が点在している「ダブル・リバー島への旅/曽根裕展」。鑑賞者はジャングルさながら枝葉を掻き分けながら進み、作品と遭遇する。
■ ペットボトルを用いたロケットがあったと思えば、ラジコンカーもある。変化しつづける香港の夜景を大理石に浮き上がらせた彫刻。高速道路の交差する地域を大理石の模型にした《フリーウェイ・ジャンクション》。それらの人工的な風景は、大自然を象徴するジャングルと対極にあるがともに美しい。
■2本の川の流れが山から降りてくる「ダブル・リバー島」は、海では波乗り、山ではスキーができる曽根がつくった想像上の楽園。ダブル・リバー島は、まだ未完成のまま展示されている。ジャングルを群をなして飛ぶコウモリの映像が一日1回夕方だけ上映される。コウモリは夕方にしか飛ばないだからだとか…モニターは上映時間以外は紙に描かれたコウモリの素描で隠されている。
■階段を昇っては滑り、昇っては滑り…《アミューズメント・ロマーノ》の高い位置に上ると展示室の全貌を俯瞰できる。すべり台を滑るなんて子供の頃以来だったが、何時の間にか無心になって遊んでいた。保護用の肘当てを使わずに勢いよく滑って肘を擦りむいたが、危険なものではない。
■異なるいくつもの作品で構成されるこの展覧会場は、まるで1つのインスタレーション作品のようにフィクションと現実とが入れ混じった空間にしあがっている。フィクションは[夢]という言葉に代えることが出来るかもしれない。その夢と現実の境界線にあって、擦り傷の[痛み]はリアリティを突きつけてくるものではあったが、適度に心地良くもあった。
曽根裕展ーダブル・リバー島への旅
2002年7月2日(火)~9月1日(日)
豊田市美術館
豊田市小坂本町8-5-1
10:00~17:30 (入場は17:00まで)
月曜休館
入場料/一般1000円、高校・大学生800円、小・中学生500円
*土日祝及び夏休み期間中は小・中学生は無料
TEL.0565‐34‐6610
words:原久子
入るとすぐに見えるのは雪ダルマ(左端)。イスタンブール・ビエンナーレに出品されたビデオ作品『A Beautiful Day』の撮影時に使用されたスキー板やスノーボード、サーフボードなど。
観用植物に囲まれた巨大な滑り台は『アミューズメント・ロマーノ』、手前は大 理石で作られた『アミューズメント』
大理石で作られている
自宅と庭の模型
ラジコン・カーももちろん作品
ハイウェイ・ジャンクションは実在のもの模し、サイズを縮小して大理石で彫っている
2002-07-02 at 05:35 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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