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2002/06/10
あいだだいや、林泰彦&中野祐介 ほか
「彼らの行方」
るさんちまん「IKISYON Vol.7」
■岐阜県大垣市IAMAS:情報科学芸術大学院大学/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーの在学生や卒業生たちが大阪で展覧会を開いている。あいだだいや、るさんちまん、林泰彦&中野祐介、みやばら美か+すぎもとたつお等の4個展と、「10人の女子によるアニメーション」展の計5つの展覧会を同時に見ることができる。
■コンピュータでの処理をほどこしたり、インタラクティブな機能を持つなどした映像作品を出展している。こんな書き方をすると別なものを想像されるかもしれないが。作家の個性やまなざしをテクノロジーをうまく用いて表現している作品が多い。
■卒業生のユニットるさんちまんは、「る会」という名称で発表活動を行なっている。牧場の様子の映像、風に揺れる草や羊等と望遠鏡のシルエットとが壁に投影され、映像の光が反射して、床にも望遠鏡のシルエットができていた。羊毛を編んだロープ付きの大きなラッパ型スピーカーからは、ガーッというノイズのような音が鳴る。望遠鏡の向きを変えるときの機械音だ。速度によって音が違うのだという。
■日だまりの中ののんびりした風景と機械音という両極にあるもの。遠くにあるものとの距離感がレンズの効果と、音によって、揺さぶりをかけてくる。
■林泰彦&中野祐介は1年ほどまえからいっしょに制作するようになった。パラパラ漫画プラス映像。パラパラ漫画は映像(動画)づくりの原点でもあるが、そのパラパラ漫画と映像をひとつにしてしまうという発想が面白い。手のない犬のキャラクターが走っている。途中でちぎれた犬の手からクルマなど様々なものが飛び出してくる。速いようで遅いようなへんてこなスピード感も作品のなかにある。飽きることなくいつまでも映像の前にいたくなる。
■閉じられた扉に注意書きをつけて、入室を一人ずつに限定した「June Bride」はあいだだいやの作品。白紙の婚姻届と印鑑の入ったアクリルケースがある。カーテンの向こうには白い分厚い布団のような服を着たあいだだいやがいて、前まで進むとそっとハグ(抱きしめる)してくれる。はじめて会うしゃべったこともない人とのハグ。「結婚」という制度と「抱き合う」という感情を持った行為について問いかけようをしようとしている。
■いずれもこれからを期待される若手たちの作品。それぞれにまったく違う興味や手法で作品づくりをしている。アーティストたちと話しをしていても、これから彼がどんな作品をつくってゆくのかはわからないが、見えない分、次の動向にも興味がわく。さてはて、これからの行方が楽しみです。
あいだだいや個展、るさんちまん「る会」、
空想ランドスケープ:林泰彦&中野祐介 ほか
2002年6月10日(月)~22日(土)
ギャラリー千
阪市北区西天満4-8-3
(地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅下車徒歩8分)
11:00~19:00(土曜11:00~17:00)
日休
tel 06-6364-2011
words:原久子
「IKISYON Vol.7」屋外用のラッパ型のスピーカーからガーッという望遠鏡が回転する音が聞こえる。回転する速度によって音が変わる。
林泰彦&中野祐介「青空ランドスケープ」
林泰彦&中野祐介「青空ランドスケープ」パラパラまんが
林泰彦&中野祐介「ある窓の風景」
林泰彦&中野祐介「アニマの跡」
あいだだいや「June Bride」 入口に注意書きがある。一人ずつしか部屋に入れない。
あいだだいや「June Bride」綿のはいったふかふかの衣装を着たあいだだいやは無表情のまま。
2002-06-10 at 03:27 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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