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2002/05/27

The Goldenweek

「幻想との戯れ」


art157_03_3「川蔵線二郎山 トラックの給水、修理店」1998


■熊文韻は中国・重慶出身のアーティスト。「熊さん」と日本語の字面で見ると、無精髭のオヤジを想像するかもしれないが、彼女はバイタリティあふれる素敵な女性。1889年に来日、多摩美術大学と筑波大学で日本画を学んだ。現在は日本と中国を往復しながら、色を用いた作品を制作している。

■彼女の色を使った作品は美術館や画廊の壁を飾るものではなく、都市と大自然をもつ大地を移動しながらキャンヴァスにみたて拡げてゆくものだ。1998年以来、彼女がプロジェクトとして制作を続けている「流動彩虹(レインボーロード)」は、トラックに、それぞれ虹の色から取り出した7色の色の異なる[幌]をかけチベット~成都を横断してゆくというもの。色彩の勉強を通してチベットの芸術にみられる単調な色彩の配置のなかに新たな可能性を生み出すことを考えた熊は、道にまるで絵具で虹を描いたようにトラックを走らせた。

■これまですでに5回のチベット行きを果たしているが、路線を運行するトラックなどに協力してもらうなどして、初め14台からスタートしたが、2000年のプロジェクトでは110台のトラックが参加したという。展覧会は、98年のプロジェクトのドキュメント写真を中心に構成したものになっている。

■色彩は「社会、自然、人間を結び付けるメディア」だと熊は言う。そして、多感な少女時代にチベットの農村に下放労働に送られた彼女にとって、チベットは特別な思い入れのある土地でもある。中国は経済や産業が急激に発展する一方で、大気汚染やさまざまな問題も生じている。この「流動彩虹」は、芸術を通した環境保護活動でもある。

■世界のいろいろな場所に出没し記念撮影(?)をする空空(KongKong)。「空空」は昨年からはじめた新シリーズだ。空空には耳とも角ともつかない三角形の突起が頭に3本ついていて、顔の真中に鼻とも口ともつかないものがどんとある。青やオレンジ、黄、紫など肌の色もとりどり。

■戦場で傷付いた空空、パリで観光する空空、ギャングの格好をした空空など、現代の世情を表わした様々なシテュエーションで撮った写真が壁に。展覧会初日には、会場に来た人が好きな服に空空を着せ替えていっしょに記念撮影するというパフォーマンスも行なった。

Rainbow by Xiong Wen Yun
熊文韻 流動彩虹
2002年5月27日(月)~6月22日(土)
fujikawa gallery / next
大阪市中央区瓦町1-7-3
(地下鉄・京阪「北浜駅」南へ5分、地下鉄「堺筋本町駅」北へ5分)
12:00~19:00
日・祝休
TEL.06-6231-4536

words:原久子

art157_03_4「川蔵線折多山 トラックの給水、修理店」1998

art157_03_5(上)「川蔵線山に入る 蔵BA0428(成都~ラマを結ぶ道路)」1998
(下)「川蔵線山を下りる 蔵BA0151(成都~ラマを結ぶ道路)」1998

art157_03_6「<流動彩虹>トラック隊、雀児山を越える」1999

art157_03_7「<流動彩虹>トラック隊、雀児山を越える」1999

art157_03_8「<流動彩虹>トラック隊、瀘定を通る」1998

art157_03_1着せ替えのできるマルチプル作品「空空(kong kong)」サッカーのワールドカップにちなんでか各国代表プレイヤーのユニフォームを着た空空もいる。がその横には迷彩服の兵士たちもいる。

art157_03_2世界のいろいろな場所で記念撮影(?)をしている空空

2002-05-27 at 01:10 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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