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2002/04/06
美術館の夢
「夢を捨てないで」
■旧兵庫県立近代美術館に代わり、同館を南に15分ほど歩いた場所に新しく兵庫県立美術館が開館した。95年の震災で大きなダメージを受けながらも復興。昨年までの31年間数々の美術展を催してきた旧兵庫県立近代美術館。旧館に長く慣れ親しんできた人々にとっては少し寂しいことでもある。
■新しい美術館は安藤忠雄の設計によるもので、3つの棟からなる巨大な建物だ。館内の延床面 積は東京都現代美術館に次いで日本で二番目に大きな美術館となった。常設展示のエリアもより拡充され、今後の展覧会活動も期待される。
■開館記念展は「美術館」そのものをテーマにしたもので、日本における博物館・美術館の起源となった博覧会を紹介するプロローグからはじまり、“第1 章 「美術館」の誕生"、“第2章 国が集める美術と在野の「美術館」"、“第3章 西洋美術への情熱"、“第4章 現代美術と美術館"という展覧会の構成になっている。
■洋画の先駆者であった高橋由一の美術館構想も第1章では見ることが出来た。模型となって再現し、展示されていた高橋のプラン「螺旋展画閣」。この発想は斬新かつ機能性にも優れたもので、美術を愛するがこそ提案できる内容とも思えた。第2章では買上げとなった作品を通 して「文展」の役割にも触れている。また、白樺派の作家や、前衛美術家などが考えた美術館構想の紹介もしている。
■展覧会名にも登場するコレクター名。美術を愛してやまないコレクターたちは彼らのほかにも多くいて、「美術館」の歴史に大きく寄与している。見ごたえのあるコレクションは、実はコレクターたちによって当世まで残されてきたといってもいいだろう。美術館に夢を馳せたコレクターたちは偉業を残したといえる。
■それにしても、ここ数年「美術館」をテーマにした展覧会が美術館で行なわれることが多い。それは、美術館という制度を逆手にとった美術表現を扱っている場合もあり、運営する側の危機感から想起された企画である場合もある。「美術館」のあり方で、これが一番よいモデルケースというものはないと思う。それぞれの館を運営する人たちの「夢」の結晶をつくれるというのが理想ではないか。それには、まず夢を持ち、その夢を捨てないことが大切かもしれない。
松方・大原・山村コレクションなどでたどる
「美術館の夢」
2002年4月6日(土)〜6月23日(日)
兵庫県立美術館
神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
(JR「灘」駅南口から徒歩10分、阪神「岩屋」駅から徒歩8分、阪急「王子公園」駅より徒歩15分)
TEL.078-262-0901
words:原久子
2002-04-06 at 11:43 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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