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2002/04/08

流麻二果「タンス」

「ワードロープ見せます!」 


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会場風景


■人体をモチーフに明るい色彩で思い切りよく描いた作品を発表している流麻二果さん。数年前に知り合い、ファイルも見せてもらったし、グループ展等でも見る機会があった。でもそのたびに作品と私との接点を探すのだがなかなか見つからない。何かがピピッと響くのを待っている自分がいた。

■去る2月、東京ワンダーサイト(東京・千代田区)の個展を見たとき、抜けるような快感を覚えた。レースや木綿の布地を天井から垂らして、そこに絵を描いていた。モチーフは女性の手足や腰など部分。その対面にぐるりと展示されていたタブローもそれまで裸体だったモチーフがスカートなどの衣服をまとうようになっていた。会場全体で演出した空間がとても心地よくて、ずいぶん長いことたたずんでいた。

■彼女の絵は一見抽象画である。大胆なデフォルメによってモチーフが消えかけているのだ。これまではそこに人体らしきカタチを探求することで安心感を得ていた部分があったが、私は次第に新鮮な色面として捉えるようになっていた。軽妙なカタチと意味深な色づかいのマッチングで完成した作品。布地を取り入れ方もステキだ。

■ずっと人体のカタチに興味があり描いてきた、という麻二果さん。エスキースにはかなり時間をかけるそう。それを忠実にキャンバスに写し取る、という話を聞いて意外に思った。着色に関しては一転して何の計画性もないという。手の動くまま、直感にまかせて塗りたくるのだろう。威勢のいいストロークがなにより物語ってるではないか。

■「自然に人体が衣服をまとうようになってきたんです。布地を使うようになってきたこともあり、自分のワードロープを見せるという意味で『タンス』と付けました」いやほんとにとてもしっくりくる説明。心のタンスにしまい込まれていた新しい服に衣替えしたってことなのね。

流麻二果「タンス」
2002年4月8日(月)~4月27日(土)
ギャルリー東京ユマニテ
東京都中央区京橋3-2-18 第一会館ビル1F
(地下鉄「京橋」3番出口より徒歩3分)
10:30~18:30(日曜休)
入場無料
TEL.TEL 03-5255-3210

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布地を用いたインスタレーション「窓際話」

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「霞/Mist」145.5×112cm(左)と「霧/Fog」145.5×112cm(右)

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「ハキモ/」50×65.2cm

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「カクハン/」60.6×80.3cm(左)と「ひがす/」(右)50×41cm

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「千鳥/Plover」145.5×145.5cm(左)と「回転フリル/Rotating frill」194×162cm(右)


2002-04-08 at 11:11 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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