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2002/03/08

O JUN 展

「入口を狭めることなく、意味を限定しないこと」 


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国立国際美術館 会場風景


■大阪の2ケ所と東京1ケ所の計3ケ所で同時に個展を開いているO JUNの大阪での展覧会をリポートしたい。はじめてこの名前を聞いた人には、いったいどこの国からやって来たアーティストなのだろうか、とまず興味をひくだろう。名前の一部をとってつけたアーティスト名だ。東京で生まれ育ち、東京藝大大学院を修了後、スペインとドイツに滞在、現在は東京で制作活動を行なっている。

■クリームがかった色の紙に、鉛筆、クレヨン、グワッシュ絵具などを用いてO JUN は、あえて立体感を消し去ったような平板な絵を描く。国立国際美術館では96年以降の作品を中心に約100点が展示されている。校章や家屋、衣類など、モティーフはどこか懐かしさを感じさせるようなものが多い。

■会場には、机の上に作品と同名の文章(これをO JUNは「作文」と呼ぶ)が設置され、座って読むことができるようになっている。作品展示に併せていっしょに文章を読めるように設えるのは『花・TV・コップ』展以来2回目。文章と絵画作品は直接のつながりをもったものではないが、 O JUNにとって絵を描くということと、文を書くということは2つの異なるイメージをする方法であという。

■鉛筆だけで描くとき、1枚の絵に数百本の鉛筆を使うこともあるという。一見、単純な形を持ったものではあるが、決して軽いものではない。必要以外のことには触れずに、重要な事柄に言及していこうとする姿勢が見える。戦争をイメージさせるモティーフも頻繁に登場することについての質問に、彼は自分の生きている時代と切り離せないものとして扱うことはあるが、それに対する社会的、政治的なメッセージを直接加えてしまうと表現を狭めてしまうので、単なるきっかけつくるモティーフとして用いていると答えていた。

■ON GALLERYでの展観には「ぺかぺか童子ー上下と水平ー」というタイトルがついている。「ぺかぺか童子」とはなんともユーモラスなメーミングだが、意味を限定しないところがO JUNのスタイルなのだろう。展示点数は多くはないが、コンパクトにすっきりまとまった空間が完成している。

【大阪会場】
近作展27 O JUN
2002年2月14日(木)~3月26日(火)
国立国際美術館
大阪府吹田市千里万博公園
(大阪モノレール「万博公園駅」下車)
10:00~17:00(入館は16:30まで) 水休
大人420円,大学・高校生130円,中・小学生70円
TEL.(ハローダイヤル)0570-008886

O JUN ぺかぺか童子「上下と水平」
2002年2月23日(土)~4月8日(月)
ON GALLERY
大阪市東淀川区淡路5-8-23-101
(阪急「淡路駅」より徒歩4分)
12:00~19:00 火~木休
TEL.06-6815-3841

【東京会場】
O JUN ぺかぺか童子「動産と不動産」
2002年3月8日(金)~4月6日(土)
ミズマアートギャラリー(詳しくはHPをご参照ください)


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「あれが、わたしの、家なのです」(2点組、1996年)
(国立国際美術館での展示より)

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『花・TV・コップ』より(1998年)
(国立国際美術館での展示より)

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「君の意匠」(『ぺかぺか童子』より、2001~2002年)
(国立国際美術館での展示より)

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「上―帽子」 (紙に鉛筆、2002年)
(ON GALLERYでの展示より)

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「下―靴」 (紙にグワッシュ、2002年)
(ON GALLERYでの展示より)

2002-03-08 at 10:45 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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