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2002/02/08
JAM:東京-ロンドン
「ごっちゃパワー」
津村耕祐は「ファイナル・ホーム」のシリーズをロンドン展とは違うコンセプトで展示した
■美術館の展示室というと、白い壁や床に整然と作品が並んでいて、がらーんとしたゆとり空間が緊張感という見えざる磁場を出している。誰もが容易に想像つくのは、いかにそういう美術館が多いかってこと。そんなステレオタイプのイメージを裏切る展覧会が開催中だ。
■入ると、いきなりこきざみなブース攻撃。入り口で渡されるマップを見るはめになる。普段はゆとりの展示をしているミュージアムだけに、ギャップに驚く。東京とロンドンの40数名のアーティストが、パーテーションで区切られた展示場で、けっこう思い切りのいいことをやっている。デザインフェスタ(作家の卵たちが地代を払って出品するアートフェスティバル。ものすごい数のアーティストが毎年参加している)をハイレベルにした印象だ。上空には膨大な数の商業紙袋を整然と並べ、チープさを逆手にとった展示を展開している。
■音楽、ファッション、デザイン、映像、写真、絵画とアーティストのジャンルは広いが、壁面で囲われたブースは圧倒的に映像作品が占めていた(映像はデジカメでうまく撮れないため、それ以外の写真ばかりですみません)。映像作品はじっくりみたいものだから椅子がほしいなと思ったが、ほとんどのブースは立ち見のみで、地べたに座り込んでいる人も。そんな中で、ゴージャス?な回転椅子を置いていたのは都築響一。ラブホテルの内装を写真と映像で見せているのだ。絨毯敷きのブースは立ち入り禁止のような気がして一瞬ためらった。でも入場可らしく監視員の女性に「ごゆっくり」と云われて中へ。薄暗い灯りの下、回る椅子の上で、異様な装飾美を誇る各ホテルの映像を3面スクリーンで見ることになる。
■ほんとに盛りだくさんなのだが、奇抜なファッションも、鋭い視点の写真も良かった。コーネリアスのミュージックビデオ(ここも椅子付き)もスピード感満点。ちなみにホンマタカシの作品は奈良美智のブースからでないと覗けないので念のため。ポスペのモモグッズ勢揃いはロンドン展でOKでもこちらでは周知すぎて意味がないような。見るだけで楽しいファンもいるだろうから余計なお世話か? 参加アーティストのプロフィールをコンパクトのまとめた冊子が無料配布され、気になる作品をその場でチェックできるのは非常にいい。
■ロンドンのバービカン・アートギャラリーで昨年5月に開催された展覧会の巡回展。東京とロンドンのカルチャーシーンを垣間見るものだが、他にもまだまだ面白いアーティストがいて、彼らはその氷山の一角さ、と両都市の層の厚みを予感させる。そういう意味でもぜひ見ておきたい展示。
JAM:東京-ロンドン
2002年2月8日(金)~5月6日(月)
東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
(京王新線「初台」東口より徒歩3分)
12:00~20:00(月休、祝日の場合は翌日休)
入場料一般1000円、大高生800円、中小生600円
TEL.03-5353-0756
ラブホテルの写真を壁面で埋めた都築響一。中に入って回転するベッド(椅子)でくつろごう
奥はエレイン・コンスタンティンの写真、右手前は鈴木友昌
チャッピー5体が並べたグルーヴィジョンズ。外のショップのガチャガチャ では小さなチャッピーが入手できる
入ってすぐのところに人でにぎわうブースがあった。田中秀幸と谷田一郎 の映像に釘付けになる来場者たち
AZUMI(安積伸、朋子)によるプロダクトデザンユニット。人工芝とワイヤ ーの椅子でくつろげる空間を演出
2002-02-08 at 10:39 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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