« JAM:東京-ロンドン | メイン | Under Construction »
2002/02/09
福井篤・岩城直美・喜多順子展
「眺めのいい部屋」
福井篤「マトリョーシカ」805×805mm 線布にアクリル絵具
■福井篤・岩城直美・喜多順子の3作家による「絵の展覧会」。サブタイトルの「 Vi ew from Artists」は"アーティストたちからの眺め"とでも訳せばいいのだろうか。いずれの作品もそのタイトル通り、アーティストに目に映ったあるいはアーティストがつくり出した"眺め"なのだろう。
■関西で紹介されるのは初めての福井篤。現実感を排除したような色づかいで、画面の上にとてもチャーミングな風景をつくり出している。シルバーの輪郭線が全体の印象をさらに洗練されたものへと導いている。部屋のなかでぼんやりしているとき、だれしも建材の木目が人間の顔に見えたりした経験を一度はもっているだろう。山並などの風景に見える福井の作品も、たとえば、衣類が重なり合っている場面など、彼自身の生活空間のなかでの眺めを切り取って描いているという。
■岩城直美は遠景と近景の描き方に独特のセンスをもつが、今回のように床に小さなサイズの絵を並べる展示は見たことがない。キャンヴァスの隅に窓枠の描かれたもの、建物のようなかたちがぽっかり描かれたもの、それらが並列に置かれたことにより新たな風景が生み出されていた。
■「風景」というならば、喜多順子の作品は「日常の風景」とはこのことだろう。亀が腹を見せて、ひっくりかえっている姿、かじりかけのリンゴに目がゆくベッドに横たわる少女の絵など。作品それぞれ時間と空間の断片が、どういうふうに連鎖してゆくのか、喜多の作品を見ていて想像する。思わぬところにキーワードが隠されているのかもしれない。
■三人三様の風景を楽しんで帰ることができる。では、もしこれを「風景」ではない、と言うとしたら、なにをきっかけにどう見ることができるのだろうか、とアマノジャクなことを考えてみた。それは今度に見るときに考えることにしよう…。
絵の展覧会 View from Artists
福井篤・岩城直美・喜多順子
2002年2月9日(土)~24日(日)
(24日以降の観覧は電話予約制)
ギャラリーTAF
京都市上京区寺町通今出川下ル扇町277-1 EATビル2F
12:00~18:30 月休
TEL.075-223-1815
福井篤「ラック」577×607mm 線布にアクリル絵具
左から 福井篤「どの旅を選んでも」805×900mm 、福井篤「窓枠用かんな」730×730×30mm いずれも線布にアクリル絵具
岩城直美の作品展示風景、いずれも「Untitled」
喜多順子「亀」455×380mm キャンヴァスに油彩
喜多順子「青山の汐」730×515mm キャンヴァスに油彩。
2002-02-09 at 10:21 午後 in 展覧会レポート | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d01538ef4066f970b
Listed below are links to weblogs that reference 福井篤・岩城直美・喜多順子展: