2002/02/05
福本綾 作品展
「ポケットに心に」
ぷっくら膨らんだ半透明の黄色の封筒が天井から無数に吊り下げされている
■「ポケットのなかにビスケットが一つ♪」という歌を子供のときに口づさんだ経験がある。お菓子が自分のポケットに入っているというのは、子供にとって特別なことだった。福本綾のインスタレーション作品を見ていると、こんなことを思い出した。
■黄色い封筒が規則正しく天井から無数に吊り下がり、その間を迷路をゆくように歩くことができる。パラフィンワックスをつかった淡い色の小さな玉が、天井からまっすぐ下りた紐のところどころにリズミカルに付いている。
■ちょう結びをほどき封筒を持って帰れるようになっている。中には「ふくれっつらの子がいたらチューインガム あげるよ モヤモヤふくらんだほっぺたで プウーっとひといき すると みるみるふうせん ふくらんで ほらほらほっぺた もとどおり」と書かれ、黄色いポケットにラムネ色などの丸い大きなガムが入っている。
■詩のような言葉と愛らしいイラスト、昭和40年代までに幼少期を過ごした世代には紐駄菓子屋さんの飴の紐ともイメージがダブってくる。パラフィンの質感といい、色といい、ある世代には新しいものというよりは懐かしいものとして視界に入ってくるだろう。子供でなくとも微笑みたくなる。いや、大人になったからこそ、こういったものにひき付けられるのか…。ほかの封筒に何色のガムが入っていたのかが気になる。
■封筒から取り出したガムを口に頬張り、よく噛んでから大きな風船をつくってみると、破裂した風船が顔中にくっついた。こんなことをするのは久しぶりだけど、顔からガムを剥がしながら、そんなことをしている自分に笑ってしまった。
福本綾 作品展
<ふくれっつらとチューインガム>
2002年2月5日(火)~3月5日(火)
ギャラリーギャラリー
京都市下京区河原町四条下ル東側寿ビル5F
11:00―18:00(最終日~17:00) 日祝休
TEL.075-341-1501
封筒を透かしてみると
「chewing gum in your pocket in your heart」 と書いてあるのが見える
封筒のちょう結びになった紐をほどいて封筒をとる
壁に説明がき
封筒を天井から釣るしたヒモにはパラフィンで丸いオブジェがつくられている
封筒を開け、カードを開くとポケットがついていてガムがあった
2002-02-05 at 02:49 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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コメント
非常にかわいらしい作者の性格があふれている作品ですね。写真からでも伝わってきます。つぎの個展があったら行きたいです。
投稿情報: YM | 2010/01/29 11:55:01