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2002/01/08
松井紫朗展
「めくるめく進行形のオブジェ」
会場風景(中央の白い柱は作品とは無関係)
■ブルー、イエロー、グリーン、オレンジ、ピンクとどうしても片仮名で書きたくなってしまうのが、松井紫朗のシリコン素材の作品の色彩。素材も色もそして形状も、シンプル過ぎるくらいにすっきりしていて、一面だけをとってみるとまるでそれは玩具のようにも思える。しかし、これらの要素が一体となり、展示されると、やにわに“美術/art work"になってしまう。
■手に取って、フぅーっと息を吹き込みたくなるようなぶらりと下がったチューブの先。「Shadow Casting Corbusier」はコルビジェのスリングチェアの脚の部分が半分ほどグリーンのシリコンの筒に隠れてしまっている。腰掛けてみると、座っている人自体は気づかないかもしれないが、光があたっていてその影の部分が背後にあるようにシリコンが床に広がっていることがわかる。
■壁から溢れ出る水に足元が浸されてゆくような「Shadow Casting Leg」。「イメージがオブジェ(物)になって、そしてさらに物の意味がなくなったり崩れたりしていくような様子」を見ることは面白い。幻想や錯角が頭のなかや視覚を通して繰り返される。私たちの身の回りで起こるかも知れないことや、起こっていることが、どんどん意味を変換されてゆく様を想像する。考えようによってはそれは知的な作業でもあり、また愚鈍な作業でもある。
■倉庫を改装してつくられたこのスペースの自慢は高い天井。この天井の高さもうまく用いてクールな展示ができあがっている。意識をつねに進行形の状態にオンにして、様々に重ね合わせてみることができる。かなり抜けきっている造形と、この意識の揺らぎの比較も面白い。
松井紫朗「Days Daze」
2002年1月8日(火)~1月27日(日)
海岸通ギャラリー・CASO(スペースB)
大阪市港区海岸通2-7-23
(地下鉄中央線「大阪港」駅南へ徒歩5分)
11:00~19:00(最終日~17:00) 月休
TEL.06-6576-3633
Sky Drop
手前)Shadow Casting Corbusierコルビジェのスリングチェアに腰掛けてみることも可
壁) Window Flare PG-9
床) Shadow Casting Pocket
Shadow Casting Pocket
オレンジ色のシリコンの袋(ポケット)にすっぽり入っているのはガラス製の額
正面壁左)Window Flare Y-28、
右)Window Flare PG-28
右手壁) Shadow Casting Leg
Window Flare Y-28
2002-01-08 at 01:48 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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