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2002/01/27

つやま芸術祭

「アートを訪ねて津山を知る」


art149_03_1坂口寛敏「三つの白いサークル」(グリーンヒルズ津山)」


■昔ながらの街並を多く残す岡山県津山市は、人口9万1千人の中国地方の静かな町だ。城跡などに桜があり春になると花に埋め尽くされるという桜の名所でもある。今回初めて催された「つやま芸術祭」は、ひろく市民や全国にも参加を呼び掛け「あなたの表現したいことを一緒にやりましょう」という意味を込めて『あなたの表現(ゆめ)かなえます』というキャッチフレーズで開催された。津山と日本の歴史を顧みる干支別の年賀状と、津山の場をテーマにした作品の公募があった。

■招待作家の坂口寛敏と太田三郎の作品以外は、応募総数96点のプランの中から17点が入選し、市内各所に展示された。中には、津山の歴史を盛り込んだ落語や、詩の朗読や音楽の演奏をフィーチャーしたパフォーミング・アーツ、ミュージカルまで分野にかかわらず紹介されることとなった。

■坂口寛敏「三つの白いサークル」はなだらかな丘陵地につくられた3つの輪。白い砂が敷かれていて、子供達は砂場で遊ぶように楽しんでいた。津山市在住の太田三郎の野外の作品は「冬の桜」、津山を代表する花でもある桜の木に、戦争中に学業を中断して戦地に赴いた学徒兵たちの文章を集めた「聞けわだつみの声」の文庫本を1ページずつカットして、桜の花となって咲いたように結んだ。傍らに結んだページが1つずつ持ち帰れるように用意されており、印刷された部分を私たちも読むことができた。

■地元の小中学校などを訪れ、自分のお気に入りの場所や風景を地図にしてもらうという新保裕「地図プロジェクト~記憶の中の風景~」。大谷俊一は、東京生まれだが祖父母が住んでいた津山の過去の写真やエピソードをモチーフに作品をつくっている。

■それぞれのアーティストたちが全く異なる角度から、津山の歴史や場のもつ空気をとりこんで作品づくりに取り組んでいる。地元の人にも忘れ去られようとしていた場が再発見されたりもしたという。ただこの町を訪れるだけでは、知ることもなかっただろう事柄が作品に重ねて表現され、ひと味違う〈津山〉に触れることができた。

2002「つやま芸術祭」
2002年1月27日(日)~2月16日(日)
グリーンヒル津山、吉井川河川敷、衆楽園、アルネ津山ほか
岡山県津山市内各所
9:00~17:00(衆楽園は7:00~)
TEL.0868-31-2525(ベルフォーレ津山事務局内)


art149_03_2坂口寛敏「三つの白いサークル」
子供も犬もグルグルと輪のなかをまわって遊んでいた

art149_03_3太田三郎「冬の桜」
大きな枝垂れ桜はこれから少しずつ芽をふきはじめる。(衆楽園)

art149_03_4太田三郎「冬の桜」
「聞けわだつみの声」の本を1ページずつカットして結んだ紙は、見に来た人に配られている

art149_03_5〈えとあーと〉緋毛氈のうえに並んだ年賀状(衆楽園迎賓館)

art149_03_6中本裕史「フロートハウス集落」(衆楽園)
家の間には電柱があって電線で家々がつながっている。

art149_03_7後藤祐介「向日葵(六方石)」(衆楽園 風月軒)
ひまわりの種のようにぎっしり並んだ石

art149_03_8「時と記憶のアートパフォーマンス(ハンカチネットワーク)」(津山の中央を流れる吉井川河川敷、中州)

2002-01-27 at 02:42 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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