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2001/11/11
Chiba Art Now'01/絵画の領域
「先入観なく、自由に、」
山倉研志 左は「茜(あかね)」右は「藍(あい)」
■佐倉市立美術館の「Chiba Art Now」は、千葉県ゆかりの作家に焦点を当てて、毎年開催されているシリーズ。初期の頃は「鉄」「木」といった素材でくくったグループショーだったが、近年は、美術のジャンルや境界に着目し、表現の多様性を浮き彫りにする内容が目立つ。今回8回目となるが「Chiba Art Now」の変遷は、担当学芸員の問題意識の変遷であり、現代の美術事情の断面でもある。
■今回のテーマは「絵画」である。語られ尽くされた感のある、ベーシックな美術表現である絵画。昨今、「終わった」といわれる絵画を再考する動きもちらほらみられるが、依然として、作り手も見る側も暗中模索しながら接している。そんな前提を抜きにして絵画を意識しなければ、立体やインスタレーションと同様、ひとつの表現として素直に受け入れられるのにと思ったりする。
■展示は、7作家が一辺の壁面もしくは小空間を使って新近作を並べている。いずれも1980年代以降に制作をはじめた30~40代の作家である。作風もほぼ確立され、見る側に安心感を与えると同時に、開拓の精神も垣間見せている。
■第1展示室に入ると4作家(堀由樹子・山倉研志・松本春崇・赤塚祐二)の作品が一望できるが、全体に抽象画だなあという印象が先走る。そして、徐々にスタイルのバリエーションの方へ興味が移っていく。それから色使いの面白さに惹かれていく。第2展示室の最初の空間を占拠した金田実生のうすぼんやりした作品に後ろ髪をひかれながら、吉川民仁のパステルカラーに新鮮味を感じ、中村一美のストロークに圧倒され、対をなす絵画に感心する。(敬称略)
■絵画=色彩で平面を作り上げること。手法としてはやり尽くされているかもしれないが、「どのように」作り上げるのかという部分には、はかりしれぬ可能性があるわけで、今後はその部分に目を向けていきたいと改めて思った次第である。
Chiba Art Now'01/絵画の領域
2001年11月11日(日)~12月16日(日)
佐倉市立美術館
千葉県佐倉市新町210
(京成線「京成佐倉」より徒歩8分、JR「佐倉」より徒歩20分/バス「京成佐倉駅」 行、「田町車庫行「二番町」下車徒歩1分)
10:00~18:00 (月曜休)
入場一般600円、高大生400円、小中生以下無料
TEL.043-485-7851
words:斎藤博美
吉川民仁 左は「風の紋様」右は「飛風」
松本春崇 左は「四つ主義絵画:手が逆さについたエンペドクレス」右は「四つ主義絵画:キリンの親子と犬と猫」
堀由樹子 手前は「Work-0101b」奥は「Work-0011g」
赤塚祐二 左は「Canary 29211」右は「Canary 250103」
金田実生 手前は「すべては水から生まれた」奥は「ここにいることが真実」
中村一美 左奥は「採桑老102」中央奥は「オレンジの姥(採桑老X)」右 手前は「採桑老VIII」
2001-11-11 at 10:47 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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