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2001/11/15

荒木珠奈展

「サーカスがやってきた」


art146_01_1今回の展示風景(1階にも作品があります)


■ピカソもシャガールも映画監督のフェリーニもキッスの「地獄のサーカス」も(悪ノリ)「サーカス」は昔から格好のモチーフだ。シュールでにぎやかでうら寂しい多面性が、見る人の記憶や感情を喚起して幅をもたせるからだろう。私自身、子供の頃も大人になってからも見たことがあるが、あまり印象は変わらない。裏手を回って、象などをのぞくとモノクロ映画を見ているような気分になる。

■荒木珠奈は、メキシコに滞在していたことがある。陽ざしが明るい反面、影が色濃く出ているような両極の要素が共存している国だと語っていたことを思い出した。本展のインスタレーションも色をふんだんに使ってとても楽しそうだが、影でも見せたりしている。

■ゲートがいくつかあり、中に入ると、玉乗りの玉のような青い地球儀があって、中がチラッとかいま見える。椅子は荒木がよく使うモチーフだが、人の気配を感じさせるものだ。それが、ジャックと豆の木のように連なっている。ジャングル・グローブのようなオブジェは、人の腕のようで不気味ないたずら感も見せている。外側には、拍手喝采のように人の手がいっぱいついている。(これは別の場所でおみやげにもって帰れます)

■おもちゃ箱をひっくりかえしたような世界だが、さほど子供っぽくならずにすんでいる。空間的に目一杯で、ひっそり現れたような孤立感がもてないのは致し方ないのかもしれない。場所柄か、年輩の男性がけっこうのぞいていく。中に入ると、頭をつかえそうな大きな子供になっている。

■周囲には、もともと彼女が手がけている銅版画が展示されている。それも心の中の風景のようだ。影が演じているような。

■素通しのやや傾いたテントは、いつか跡形もなく片づけられる。展覧会終了後には、パーティーの後のように、そこに在ったのに在ったのかなかったのかわからなくなるような所在なさを感じさせるのかもしれない。インスタレーションというアートの形態は、もともと仮設の運命にある。

荒木珠奈展
「inner CIRCUS内なるサーカス」
2001年11月15日(木)〜12月28日(金)
プラスマイナスギャラリー
東京都中央区銀座6-11-1TEPCO銀座館2F
(銀座駅より徒歩3分、松坂屋裏)
10:30〜18:30 水休
TEL.03-3575-0456

words:白坂ゆり

art146_01_2椅子が天まで伸びているような

art146_01_3奇妙なオブジェ

art146_01_4地球をのぞいてみると……

art146_01_5壁に映る影も

art146_01_6周辺に版画も展示されている

2001-11-15 at 12:52 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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